コガタアカイエカの海外からの飛来とその飛翔能力

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タイトル別名
  • Migration from overseas of <I>Culex tritaeniorhynchus</I> and its flight capability

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1960年代後半, 東シナ海洋上の定点観測船でウンカ類が多数捕獲され, 大陸や東南アジアから毎年飛来侵入する農業害虫の存在が広く知られるきっかけとなったが, その中にコガタアカイエカが見出されたことはあまり知られていない. コガタアカイエカはアジア全域で主要な日本脳炎ウイルスの媒介蚊である. 国内の患者数は年間 10名以下で推移しているものの, 蚊や豚におけるウイルスの活動は依然として活発である. 近年のウイルス分離株の解析から, 東南アジアで流行しているウイルス株が日本に飛来していることが示唆され, 本種蚊の長距離飛翔の再評価が望まれた. 我々は,2009,2010年に長崎, 佐賀, 鹿児島県に設置された定点トラップにコガタアカイエカが多数捕集され,ミトコンドリア遺伝子の塩基配列から, 国内に生息する集団(日本型)だけでなく, 日本以外のアジア諸国に分布する集団(アジア型)と一致する個体が, 毎年約10%含まれていることを明らかにした. コガタアカイエカがウンカ類と同様に, 毎年海外から長距離飛翔していることが示唆された. 本大会では, 2年間の定点トラップによるコガタアカイエカの捕集結果と気象解析に加え, フライトミルを用いた室内飛翔実験ならびに飛翔エネルギーの測定結果をもとに, 本種の長距離飛翔を物理的・生理的特徴から考察する.

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