ユスリカ大発生その後 琵琶湖を事例にして
書誌事項
- タイトル別名
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- Massive occurrence of chironomids and thereafter: the case of Lake Biwa
説明
琵琶湖では,特に南湖沿岸において,1970年代からアカムシユスリカPropsilocerus akamusi,オオユスリカChironomus plumosusが大量に飛来するようになった.これら2種はユスリカとしては体長1cm前後と大型で,住民から「びわこ虫」と呼ばれ苦情の原因となった.幼虫は底泥中に生息し,富栄養化とともに増加した植物プランクトンに由来する新生堆積物を食物として大発生したと考えられるが,2000年代に激減した .代わって近年,琵琶湖では2006年に初めて確認された体長約1mmのコナユスリカ属の1種Corynoneura lacustrisが南湖沿岸で頻繁にみられるようになった.その他,ウスグロヒメエリユスリカPsectrocladius aquatronus,ヨドミツヤユスリカCricotopus sylvestris等,体長3~5mmの小型種が近年多くみられる種の大部分を占める. 1994年に観測史上最低水位を記録して以降,特に南湖で沈水植物(水草)の分布が拡大し,現在ではほぼすべてを覆っている.上記小型種の幼虫は水草に付着して生活するため,水草の分布拡大が増加の直接の原因と考えられる.一方,大型種が減少した原因として,下水道整備等の施策による流入負荷の減少に加え,水草との栄養塩をめぐる競争によって植物プランクトンが減少し食物条件が悪化したこと,および湖水の滞留や水草残渣の分解による湖底の貧酸素化が考えられる .
収録刊行物
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- 日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
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日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 64 (0), 45-45, 2012
日本衛生動物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680597604864
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- NII論文ID
- 130005478435
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可