トコジラミの吸血行動と皮膚反応
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- 夏秋 優
- 兵庫医科大学皮膚科
書誌事項
- タイトル別名
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- Blood-sucking behavior of bedbugs and the skin reaction
説明
トコジラミは皮膚から吸血して痒みを伴う皮疹を引き起こす代表的な衛生害虫である.近年,トコジラミによる吸血被害は少ないものの,時に宿泊施設内での繁殖が確認されて問題となることがある.トコジラミは主に夜間就寝中にヒトから吸血するため,その吸血行動が観察される機会は少ない.今回,トコジラミ成虫(富山県衛生研究所・渡辺護先生よりのご提供)を1週間ごとに皮膚に乗せて15回吸血させ,その吸血時間や行動について観察した.その結果,1回の吸血時間は7~27分で,平均15.7分であった.また,吸血の際に口器を数回以上,刺し変える場合があり,最大で7回も差し変えることが判明した.皮膚症状については,最初の数回の刺咬では皮疹が見られず,その後は刺咬後1~2日で吸血部位に痒みを伴う紅斑,あるいは紅色丘疹が出現した.その皮疹の生検組織像はT細胞が主体の真皮内炎症細胞浸潤であった.さらに,トコジラミ虫体抽出液を作製して末梢血リンパ球に添加して培養したところ,著明な増殖反応が認められた.これらのことから,トコジラミが吸血する際に皮膚に注入する唾液腺物質に対して細胞性免疫反応が成立することによって皮疹が出現すること,口器を差し変える回数によって皮疹の数が決まることが示唆された.
収録刊行物
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- 日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
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日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 61 (0), 84-84, 2009
日本衛生動物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680597836544
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- NII論文ID
- 130006980922
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可