神通川川辺マンションにおける冬季のユスリカ大量飛来

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  • Massive flight of chironomid midge in winter on mansions in shore of Jinzu River.

抄録

2006年の年末から1月上旬にかけて, 神通川右岸近くの富山市磯部町の8階建て新築マンションの屋上と8・7階に, 冷水性のミヤマエリユスリカOrthocladius (Euorthocladius) frigidus (Zetterstedt, 1838) が大量飛来し, 住民から苦情が寄せられた. 6階以下では飛来はあまりなかった. 体色は黒色で, 大半はオスであった. 尾針(anal point)が左右平行でかなり長い特徴をもつ. 1月11日には天候が悪く, 寒 いのにもかかわらず, 8階壁面と屋上塔の東面と北面が黒くなるほどの大量飛来 が認められたが, 天候の回復した1月16日には激減しており, 1月20, 21, 22日には晴れ間もみられたが, 少数個体しか認められなかった. 8階北面床上に粘着式ライトトラップ(ムシポン)を設置し, その後の消長を調査中である. なお, 付近 の他のマンションでも飛来被害がみられた. <BR>  また, 神通川岸の淀みに無数の本種の脱皮殻が確認され, 羽化ミス個体も多数得られた. 本種は, 国内では北海道の阿寒湖, 洞爺湖, 富山県の神通川, 利賀で, 佐々ら(1987~1992)が記録しているが, 1月の大量飛来例は知られていなかった. この現象は, 神通川上流部で発生した本種の蛹か幼虫が流されてきて, 淀みで羽化し, 巨大蚊柱を形成して, 白色系のマンション高層部に大量飛来したためではないかと推定された. 同所付近では例年冬季にユスリカが出現して洗濯物を汚されるなどの被害が出ていたが, 新築マンションの高層階に入居した住人にとっては, はじめての冬場に大群のユスリカ襲来は驚きであった. この度のような大量飛来がみられたのは, 神通大橋建て替えのために大規模な河川改修がなされて淀みが増したことと, 暖冬下での降雨で増水したためではないかと思われるが, 今後の経過をみたい. <BR> キーワード:ユスリカ, ミヤマエリユスリカ, 冬季, 大量飛来, 神通川

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680598051072
  • NII論文ID
    130006981219
  • DOI
    10.11536/jsmez.59.0.63.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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