足感染に対するマゴットセラピー

DOI
  • 三井 秀也
    岡山大学大学院医歯薬総合研究科 心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • Maggot Debridoment Therapy for Severe Foot

抄録

マゴットセラピーとは、クロバエ科の1種のヒロズキンバエ(Phaenicia (Luciria) sericate)のウジ虫(マゴット)を無菌化し、これを足に生じた皮膚潰瘍部に置き、治癒を促す治療法です。 昨年から国内で無菌マゴットが供給されるようになったことから、国内のいくつかの施設でマゴットセラピー開始されました。それによると特に糖尿病性の壊疽に対して良好な結果が報告されています。 この治療の歴史は、昔からマゴットが湧いた傷がよく治癒する事実が伝承されてきたことが端緒となっています。また、幾多の戦争に参戦した軍医たちはマゴットが湧いた傷が、驚くべき速さで治癒するのを目撃しておりました。現在この治療はイギリスやアメリカなどの先進国の多数の医療機関において、糖尿病性難治性の足潰瘍に対して広く行われています。 マゴットセラピーの利点は、_丸1_麻酔が不要、_丸2_禁忌症例がない、_丸3_安価、_丸4_その他の治療と併用が可能であるなどなどです。また、マゴットは、人間の手の届きにくい創の深部にまで夜昼なく休みなく治療を続けてくれます。 一方マゴットセラピーの短所、危険性としては、_丸1_周囲に軽い皮膚炎を起こす可能性がある。_丸2_マゴットが動き回る為、モゾモゾ感等の違和感を生じる。_丸3_ハエやマゴットに対するアレルギー体質を持った患者さんには使えないなどです。これらの場合には速やかに中止し、従来治療に変更する必要があります。 今後マゴットセラピーは広く普及するものと考えられますが、国内臨床治験例を積み重ね、その結果を詳細に検討し、ひろく啓蒙の必要があります。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680598078848
  • NII論文ID
    130006981244
  • DOI
    10.11536/jsmez.60.0.2.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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