東北地方における疾病媒介蚊の分布域拡大および分布周縁部における生息密度に関する調査

書誌事項

タイトル別名
  • Recent expansion of the distribution and peripheral population density of vector mosquitoes in Tohoku District in Japan

説明

1)ヒトスジシマカに関する調査:東北地方におけるヒトスジシマカの分布域調査に関して、2003年に盛岡では、2コロニー(2 / 51)からヒトスジシマカ幼虫が初めて確認されたが、翌年の調査で同蚊は確認できなかった(0 / 71)。2004年の調査では、岩手県宮古(0 / 9), 秋田県八森(0 / 17), 青森県岩崎(0 / 6), 深浦(0 / 13)、その他鰺ヶ沢、弘前で確認されなかった。しかし、太平洋岸の釜石(1 / 19)で初めて確認された。2005年の調査では、能代の北約20 kmの八森町(1 / 14)で初めてヒトスジシマカが確認されたが、青森県の岩崎、深浦、鰺ヶ沢では見つかっていない。一方、3年前に同蚊が確認された気仙沼では市内広域に分布が広がっていた。また、釜石(0 / 32), 北上(0 / 30)では確認されず、大船渡(1 / 20)で初めて確認された。 この陸中海岸の2市(釜石、大船渡)では、近い将来ヒトスジシマカが定着する可能性が高いと考えられ、物流等に関するデータとの関係を調査中である。2)コガタアカイエカに関する調査:コガタアカイエカの生息密度が温暖化によってどのように影響を受けるかよく分かっていない。我が国の分布は琉球から北海道までで、日本脳炎ウイルス(JEV)に対する豚の抗体陽性率から判断すると、分布周縁部にあたる東北地方以北での個体群密度は相当低いことが想像される。2005年8月の上旬、秋田県大仙市(大曲市)の畜産試験場と秋田市内の牛舎でライトトラップによる蚊の捕集を試み、富山県および埼玉県の同時期の捕集成績と比較した。その結果、トラップ・ 一晩当たりの捕集数は富山県の約1/100, 埼玉県の約1/10程度と少なく、この事が秋田県におけるHI抗体陽性率の低さに関係している可能性がある。なお、2005年9月に秋田県で豚のHI抗体陽性が確認された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680598251776
  • NII論文ID
    130006981506
  • DOI
    10.11536/jsmez.58.0.8.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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