呼吸波形を用いた睡眠状態推定の可能性

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タイトル別名
  • possibility of predicting sleep state with a focus on respiratory waveforms

抄録

睡眠には1日の1/3の時間が費やされており,身体諸機能を健常に保つために必要不可欠である.また,人間にとって睡眠の質は生活の質をも左右する重要な指標である.このように睡眠の質と健康には密接な関係があり,1日の睡眠状態を長期に渡りモニタリングすることは健康状態を評価する手段として重要であると考えられる.一般的に,睡眠状態をモニタリングする方法は睡眠ポリグラフと呼ばれる脳波,眼球運動,顎筋電などの生体情報を計測し,これらを総合して睡眠深度を判定しており,病院や専門機関での検査が必要である.一方では,自宅で簡便に睡眠状態を計ることができる装置が望まれており,近年では,無拘束に睡眠時の呼吸や心拍を計測する手法が確立されている.呼吸運動は睡眠の状態に密接に関係していることがこれまでの研究で知られているにもかかわらず,睡眠の状態を推定する指標としては主に心拍が使用されており,呼吸の検討はされてこなかった.そこで本研究では呼吸波形に着目し,睡眠状態を推定する方法を考案し,この精度を確認したのでこれを報告する.実験は20歳代の健常男性5名に対して睡眠ポリグラフ,胸部の呼吸運動の計測をおこなった.得られた呼吸運動の振幅の5分間におけるCV値を求め,REM睡眠,覚醒時(安静仰臥,閉眼),SWS睡眠の3状態で評価したところ,有意な差異が認められた.次に,同じ被験者の終夜のデータを用いて,5分間におけるCV値を使用してSWS睡眠期間の推定をおこなった.これと睡眠ポリグラフから判定された睡眠深度の結果と比較すると,平均感度0.63,平均特性0.90と,高精度にSWS睡眠期間を推定できていることが確認された.以上のことから,睡眠時の呼吸波形のみを使用して睡眠の状態を推定する可能性が示された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680599531008
  • NII論文ID
    130006982938
  • DOI
    10.11509/sci.sci05.0.138.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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