蚊の分布解析におけるベイズ統計の応用

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タイトル別名
  • Bayesian statistics for analysis of mosquito distribution

抄録

古くよりフィールド生態学では生物の分布を研究してきた.データが正規分布することを仮定した統計モデルがかつての主要なツールであった.生物の個体数は明らかに正規分布ではなく,特に平均個体数の小さい場合はゼロが多くて左右非対称の分布を示すが,変数変換をすれば正規分布になると信じて我々は古典的な統計モデルを使ってきた .一般化線形モデル(GLM)は古典的な統計モデルを,二項分布やポアソン分布などに拡張したもので,我々を無理な変数変換や等分散性の悩みから解放した.一般化線形混合モデル (GLMM)は GLMにさらにランダム効果という要素を加えたものでモデルの利便性がさらに増した .これらは全て最尤法に基づいたモデルである.私は2010年の大会で,ベトナムのある村における Anopheles dirusの人家への飛来数が局所的な人家の密度に反比例することを報告した.昨年の大会では蚊の分布が一様でない場合に適用できる最尤モデルを提案したが,複雑にすぎて実用性に乏しいモデルになってしまった .その反省をもとに,「蚊の飛来数は局所的な蚊の密度を局所的な人家の数で割ったもの」であるという単純な仮定に立ち戻り,実際には直接知ることができない局所的な蚊の密度は空間的自己相関を示すランダム変数として扱うモデルを開発した.このモデルは最尤法では解析不可能なのでベイズ統計の手法を用いた.ベイズ統計の手法には単純な構造で複雑なデータを説明出来るポテンシャルがある.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680599704960
  • NII論文ID
    130005478555
  • DOI
    10.11536/jsmez.64.0_83_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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