Fugl-Meyer評価法の有用性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • -Br.stageと比較して-

説明

【はじめに】我が国では従来、片麻痺の機能評価にはBrunnstrom Stage(以下、Br.Stageとする)が広く用いられてきた。しかし、国際的にはFugle-Myere評価法(以下FMAとする)などの他の評価法も広く用いられている。FMAとBr.stageには相関性があると報告されていが、前者の方がより評価項目が細分化されている。そのため、細かい変化点が反映されやすく、改善の少ない維持期でも用いやすいなどの長所がある。また、一般に上肢・手指の回復は下肢に比べて不良であると言われている。そこで、今回我々は、上肢・手指の改善度の評価のしやすさにおいて両者の比較を行ない、FMAの利点について考察したいと考える。<BR>【目的】維持期での上肢・手指の機能評価におけるFMAの利点について、Br.stageとの比較において検討した。<BR>【対象】対象は、当院で入院および外来にて作業療法を施行中の維持期の脳卒中片麻痺患者24名であった。内、右片麻痺が13名で、左片麻痺が11名であった。性別は、男性が18名で、女性が6名であった。平均年齢は63±8.5歳(最小41歳、最大77歳)で、発症からの期間は968±704.6日(最小302日、最大2783日)であった。<BR>【方法】1ヶ月間の前後にてFMAとBr.Stageを測定して、両者の改善度を比較した。対象者の治療頻度は3-6回/週であった。治療内容は、ボバース概念などの運動学習理論を参考にして、個別にプログラムを立案した。主には、1.姿勢制御系の促通、2.自動および、自動介助による随意運動の促通、3.関節可動域制限などの非神経的要素の改善、4.各種感覚入力、であった。FMAは上肢の項目と関節可動域/関節痛の項目の中の上肢・手指を評価の対象とし、合計点数を126点とした。Br.Stageは上肢と手指を評価した。FMAとBr.Stageの上肢・手指について、1ヶ月間の前後にて比較した。<BR>【結果】1ヶ月間の前後におけるFMAの平均は、前が76.5±18.1点で後が81.3±20.1であった。両者間にはwilcoxon符号付順位検定にてp=0.0006にて相関性を認めた。詳細は、A肩肘前腕では、前が19.3±7.3点で、後は20.9±8.3点であった。B手関節では、前が2.0±3.2点で、後は2.5±3.4点であった。C手では、前が6.8±4.1点で、後が7.4±4.3点であった。一方、Br.Stageは、上肢では前が3.1で、後が3.3だった。手指においても前が3.3で、後も3.3と著明な変化は見られなかった。<BR>【考察】永田は、FMAとBr.Stageを改良した12段階片麻痺機能テストの間には高い相関性があると述べている。よって、FMAとBr.Stageにも同様に相関があると考えられる。しかし、後者は点数間の間隔が広く、急性期や回復期の前半を除いては有用でない事も多い。加えて、痙性麻痺を全体的に網羅していないなどの欠点も指摘される。一方FMAは、評価項目が細分化されているため、一般に変化が少ないとされる、維持期や上肢・手指においても有用であると考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680600268288
  • NII論文ID
    130006983796
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2005.0.29.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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