在宅ケアにおける連携の重要性

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  • 認知症患者との関わりを通して

抄録

【はじめに】今回、認知症(アルツハイマー型)患者に対する在宅ケアにおいて、介護記録を用いたチームアプローチに関わった為、報告する。<BR>【症例】88歳、男性。要介護度5。障害老人の日常生活自立度C1。痴呆性老人の日常生活自立度IV。平成14年4月より痴呆症状出現。平成16年4月4日摂食嚥下障害により入院。6月11日PEG施行。その後自宅での介護となる。<BR>【家族背景】キーパーソンである長女と2人暮らし。長女は、父の意向に沿い、自宅で過ごしてもらいたいという気持ちが強く、介護に熱心である。<BR>【ケアプラン】訪問リハビリ、訪問看護、訪問入浴、訪問介護。<BR>【方法】情報の共有・統一したケアを目的とし、介護記録をつけることとなる。介護記録には、毎日の排泄・栄養状態・出来事を家族が記載し、その日訪問したスタッフが、サービス時間中の様子・家族や他のスタッフに伝えたい内容を記載した。また、日々の状態把握だけでなく、(1)関係作りや会話の情報(2)家族の心境の把握(3)各サービスへの情報提供として用いた。<BR>【結果】(1)環境の変化によって不安症状が出現する症例と関わる際、介護記録に記してある、良い反応を手がかりに会話を行い、関係作りに努めた。スタッフ個人を受け入れてもらえるようになり、毎日誰かが訪問することを楽しみにされるようになった。(2)毎日家族に記載してもらうことで、反応が良く嬉しい気持ちや、栄養が上手くいかず心配な気持ち等を理解した上での会話・アドバイスを行うことができ、不安の軽減につながった。(3)状態の良い時期には訪問リハビリ・看護にて公園までの散歩・友人宅訪問を実施し、その情報交換として介護記録を活用した。訪問介護との連携では、移乗動作・運動の方法を記載し、それを基に必要時に直接的な介護指導を実施した。また、耐久性低下・膝折れ著明となった時期には、訪問入浴時に下肢の運動の協力を得ることができた。さらに、訪問リハビリで実施している活動を記載し、他サービス時にも実施してもらうことで、耐久性が低下した時期になっても、日常での「楽しみ」を持続することができた。<BR>【考察】人や環境に影響を受けやすい認知症患者・家族に対し、ケアの統一を図ることは重要である。今回、介護記録をその手段に用い、状態の変化に伴った各サービスの役割をお互いに認識・協力することで、本人・家族の意向に沿うことができたと思われる。リハビリの役割として、介護指導だけでなく、自発性を引き出せる活動を提供し、それを日常の楽しみにつなげること、そのために家族や他スタッフにその意味を理解、実行してもらうよう関わることが重要な役割であると考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680600420864
  • NII論文ID
    130006983954
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2005.0.8.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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