ミニバスケットボールチームにおける基本動作獲得による運動能力への影響
説明
【はじめに】<BR> 小学校でも部活動が盛んに行われる一方で身体の二極化、すなわち運動不足に伴う生活習慣病と運動過多によるスポーツ障害の多発が社会問題にもなっている。児童・生徒の運動器疾患・障害の推定羅患率は学年が上がるにつれて高くなっており、その大半がスポーツ障害であると松下らは報告している。<BR> こどもは勿論、指導者や保護者を含めて基本動作・障害予防に対する意識の再確認が必要と考え、こどものスポーツ障害予防の一環として近隣のM小学校ミニバスケットボールチーム(以下ミニバス)の協力のもと運動能力の測定を行い、基本動作を1ヶ月間実施し再度測定を行い比較検討したのでここに報告する。<BR>【対象】<BR> M小学校 ミニバス 男性10名女性9名計19名 平均年齢 10.5歳 平均身長142.4cm 平均体重 33.3kg<BR>【方法】<BR> 当院のこどもスポーツ専門外来で行っている測定で簡便なものを5種類9項目選択実施。基本動作の再確認を3回/週の練習で指導者(監督)に行ってもらい、1ヶ月後に再度測定し有効性について検討を行った。統計処理にはWilcoxon符号順位和検定を用い危険率5%にて有意差を求めた。<BR>【結果】<BR> 立ち幅跳び・片脚ジャンプ(左/右)・反復横とび・開眼片脚バランス(左/右)にて有意差が認められた。垂直とび・閉眼片脚バランスでは有意差が認められなかった。<BR>【考察】<BR> 短い期間ではあったが従来のバスケットの練習に加え、動作の再確認として着地・切り返し・ストップ・ステップ動作時の下肢の使い方を説明し、2~3人でチームを組みお互いにチェックが行える様指導し実施することで、運動能力に影響が認められたのではないかと考えた。<BR> 筋力が急激に強化されたわけではなく動作の再確認をさせる事で、全身を効率よく使えるようになったため着地時の衝撃吸収が行え、次の動作にも敏速に対応できるようにより下肢~体幹~上肢・上肢~体幹~下肢へとスムーズな連動が行えるようになり有意差を認める結果になったのではないかと考えた。<BR> 垂直とびに関しては今回前方・側方の動きを中心に行っており、上下方向の確認としては着地時の指導に重点を置き行った為と考え今後の課題としていく。<BR> 閉眼バランスに関しては短期間で変化を求めるのは困難であったため、今後固有感覚も含めた検討が必要になってくるのではないかと考えた。<BR> スポーツ障害は子どもだけの問題ではなく、指導者や保護者の問題でもあると考えられる。スポーツを通して子どもの体力の向上や心身の健全な発達を促進していくことで成長の基礎づくりができるように、スポーツ障害予防を重視したスポーツのあり方を指導者・保護者に再認識していただく必要があると考える。また指導者・保護者任せにするのではなく、スポーツ障害に対する医療体制の整備や指導者の指導力向上として、今後はスポーツの現場で理学療法士のサポート体制がスポーツ障害の防止に役立てるのではないかと考えている。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2009 (0), 122-122, 2009
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680600535296
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- NII論文ID
- 130006984081
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可