創傷入院患者の傾向から得られる理学療法士の関わり
抄録
【はじめに】<BR> 当院の創傷ケアセンター(以下創傷科)では様々な基礎疾患を背景に傷を持った患者が入院している。傷の部位や状態も多様である為苦慮することが多い。そこで今回、創傷科入院患者の傾向を調べ理学療法士としての関わり方を検討したので報告する。<BR>【方法】<BR> 平成20年9月~21年3月に創傷科に入院しリハビリ処方のあった患者23名を対象とした。年齢、性別、平均在院日数、リハビリ実施期間、転帰先、原疾患、基礎疾患、受傷機転、術式、関節可動域、筋力、感覚障害、Barthel Index(以下B.I)、歩行状態を調査および評価した。<BR>【結果】<BR> 平均年齢66.3才、性別は男性13人、女性10人で男女差は認められなかった。平均在院日数37.1日のうちリハビリ実施期間は18.7日であった。転帰先は69.6%が自宅に戻っているが、再入院を繰り返す患者が39.1%にも及んだ。原疾患は足趾壊疽39.1%、次いで褥瘡が17.4%であった。足趾壊疽の受傷機転は靴擦れや胼胝、擦り傷が主であった。基礎疾患に心臓疾患や糖尿病があり65.2%は感覚障害も合併していた。術式はデブリドマン、切断術が主で73.9%が入院時に手術適応であった。創部周辺の関節可動域制限、筋力低下が目立ち、大きな改善を認めず退院を迎える患者がほとんどであった。B.Iは入院時平均53.2点、退院時64.3点で向上していた。歩行状態は寝たきりや車椅子中心の患者が30.4%、その他は歩行補助具の使用も含めて見守り~自立レベルであった。<BR>【考察】<BR> 傷は日常生活上での不注意から生じることが多いにも関わらず、病識が低くADL上で気をつけるべきことを患者自身が把握出来ていないと感じた。リハビリ処方は術後が多く安静期間が長い。その期間に創部周囲筋を中心とした廃用の進行が懸念される。またリハビリ実施期間が短い為身体能力の改善が十分に得られぬまま退院を迎えることも問題である。早期から創部に負担が無い肢位や関節からの介入、また創部除圧のポジショニング、ADL指導の必要性を感じた。創傷患者へのリハビリは創部負担が懸念され消極的となる傾向にある。その為Dr.とカンファレンスを設け傷の治癒状況確認や訓練内容の進行に対して助言を頂くことが大切である。今後は再発予防が一番の課題である。足病変に対してフットケアのリハビリテーション体制を確立していきたいと考える。調査を通して、入院時から患者教育に努め意識改革していくことが予防に繋がり一番重要であることが分かった。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2009 (0), 198-198, 2009
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680600712832
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- NII論文ID
- 130006984200
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可