視床・被殻出血の予後予測

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  • CT所見からの機能予後

説明

<BR>【目的】<BR>  診療報酬の改定やDPCの導入などにより早期退院が求められている現在、脳卒中のリハビリの効率性は的確な予後予測が重要となってくる。今回、CT所見と機能予後がどのように関連しているかBrunnstrom recovery stage(以下Br.stage)・FIM・歩行に焦点をあてて追跡調査した。<BR> 【対象と方法】<BR>  平成17年1月から平成18年2月の間にリハビリ処方された全ての視床・被殻出血患者50名を対象とした。方法は、リハビリ処方時のCTと、リハビリ開始時から退院まで1ヶ月ごとのBr.stage、FIM(運動・認知点)、歩行自立度の3項目について自宅復帰率とともにその関連性を追跡調査した。CT所見はそれぞれ疾患ごとにA:内包後脚にかからず限局しているもの、B:内包後脚にかかるもの、C:内包後脚をまたがるもの、の3つに分類し、さらに各分類のなかでどのような傾向があるのか検討した。<BR> 【結果】<BR>  視床出血21名(平均年齢72.1±13.4)のCT所見は、A:3名、B:14名、C:4名であった。退院時のAの平均値はBr.stage5.5、FIMの運動点56.7 認知点27.7 であり歩行自立は2名(66.7%)で自宅復帰率66.7%であった。Bの平均値はBr.stage4.9、運動点62.5 認知点27.4であり歩行自立は8名(57.1%)で自宅復帰率64.3%であった。Cの平均値はBr.stage2.5、運動点37.8 認知点22.5であり歩行自立に至るものはおらず、自宅復帰率も25.0%であった。また、CT所見Bについては血腫が偏位しているものが予後不良(自宅復帰率33.3%)という結果が得られた。<BR>  被殻出血29名(平均年齢67.8±13.1)のCT所見は、A:9名、B:17名、C:3名であった。退院時のAの平均値はBr.stage4.3、FIMの運動点57.9 認知点27.2であり歩行自立は4名(44.4%)で自宅復帰率44.4%であった。Bの平均値はBr.stage2.9、FIMの運動点46.7 認知点22.2であり歩行自立は8名(47.1%)で自宅復帰率57.1%であった。Cの平均値はBr.stage2.4、FIMの運動点44.7 認知点23.7であり歩行自立に至るものはいないものの、自宅復帰率は66.7%であった。また、CT所見Bにおいて、1ヶ月後に介助歩行にさえ至っていない患者は8名おり、その中で退院時も介助歩行に至らない患者が8名中7名(87.5%)いた。<BR> 【考察】<BR>  視床、被殻出血ともにCT所見Aは予後良好、所見Cについては予後不良であり、神経解剖学的にも一致する結果となった。しかし、両疾患A・Cとも症例数が少ないことから今後も症例を重ねる必要がある。CT所見Bについては視床の場合、血腫が偏位しているほど予後が不良であり、被殻の場合、1ヶ月予後で歩行可能となるか否か予測しうるデータが得られた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680600766720
  • NII論文ID
    130006984292
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2006.0.38.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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