訪問リハビリの実施期間について
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説明
【目的】<BR> 社会の高齢化が進み、今後訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)の需要が高まるとされている。当院においても訪問リハの利用希望者数が増加傾向にあり、H19年度は38名、H20年度は52名の新規依頼があった。しかし実施期間の長期化により利用者が固定化し、新規利用者の受け入れが困難となってきた。利用希望者に円滑に訪問リハを開始するために、訪問リハの終了及び実施期間の検討が必要であると考え、今回当院の所在する北九州市若松区における実施期間の現状調査を行ったので、以下に報告する。<BR>【対象及び方法】<BR> 若松区にある5つの訪問リハ事業所に対し、H19年5月からH21年3月の間に訪問リハを実施した利用者についてアンケート調査を行った。対象となった利用者は157名(男性57名、女性100名、平均年齢77.7±10.6歳)で、A群46名:継続1年未満、B群36名:継続1年以上、C群62名:1年未満で終了、D群13名:1年以上で終了の4群に分け、年齢・介護度・疾患名・実施期間・目的・終了理由・介護者の年齢について比較した。<br>【結果】<br> 実施期間の平均はA群5.3±3.2ヶ月、B群35.3±22.8ヶ月、C群4.3±3.0ヶ月、D群37.5±36.2ヶ月であった。実施目的はA・C・D群において「歩行・ADL向上」が最も多く(A群23.9%、C群51.7%、D群33.3%)、C・D群において、その他の目的は「疼痛軽減」「廃用・拘縮予防」「自主トレ指導」「介護指導」「環境整備」であった。B群においては「能力維持」51.3%、「歩行・ADL向上」41.0%、「疼痛軽減」7.7%であった。終了理由はC群において「目的達成」46.8%、「入院」12.9%、「死亡」11.3%、「入所」9.7%、D群において「入院」38.5%、「目的達成」「死亡」「入所」が各々15.4%を占めた。その他の調査項目に、大きな差は認められなかった。<BR>【考察及びまとめ】<BR> 若松区において実施期間が長期化する原因は、年齢や介護度等ではなく実施目的である事が示された。C・D群においては目的が明確で達成時期を決定しやすいのに対し、B群は「維持」が最も多く、達成時期が明確にならず長期化する傾向がある。目的達成・訪問リハ終了へ移行するには、目的を明確化し焦点を絞ったリハを実施する必要がある。しかし進行性難病や病態によっては継続的な訪問リハが必要になることもあり、維持が目的として不適切とは言い難い。他サービスで補完し訪問リハを終了する等、維持の為に有効な手段を検討する必要もあると思われる。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2009 (0), 181-181, 2009
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680600786304
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- NII論文ID
- 130006984318
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可