カルニチントランスポーターOCTNの発現調節機構
説明
(目的)カルニチンは生体内で精巣に高濃度に存在し、その役割は精子分化・精子運動能に関わると考えられている。カルニチントランスポーター機能欠損マウスでは精子運動低下によると考えられる原因によって雄性不妊を呈することが見出されており、男性不妊において重要である。このようなカルニチン低下による症状はカルニチントランスポーター自身の発現量が低下した場合も生じると予想される。Octnsトランスポーターはマウスにおいては3種類(Octn1,2, 3)のメンバーが同定されており、全ての分子種が共通して精巣で発現している。3分子種のうち2分子種(Octn2,3)は高いカルニチン輸送活性を保持しているが、精巣において両分子がカルニチン輸送に関してどのような役割分担を担っているのかは不明である。そこで、両分子の精巣での発現パターンが異なっている事に着目し、発現調節機構から役割分担の解明を試みた。(方法)Octn3プロモーター領域を段階的に欠失したレポータープラスミドを構築し、マウス精巣セルトリ細胞由来TM4 細胞に導入しプロモーター活性を測定した。また、TM4 細胞を種々の化合物で暴露し、Octn2の発現変動の解析を行った。(結果・考察)Octn2とOctn3遺伝子のプロモーター領域を比較すると-2.0kbから-1.5kbの領域で高い相同性が認められた。また、両プロモーター領域には精巣の形成に重要な転写因子の1つであるGATA-4の結合サイトが存在していた。Octn3遺伝子上流-2.5kb領域にはaaagaaagという繰り返し配列が存在し、その領域を欠失させるとプロモーター活性が減少した。この領域はOctn2プロモーター領域には存在せず、Octn3の発現調節に重要な領域である考えられた。また、カルニチン暴露によりOCTN2の発現は1.6倍の増加が認められ、内因性基質が転写調節に関与していることが示された。
収録刊行物
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- 日本薬物動態学会年会講演要旨集
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日本薬物動態学会年会講演要旨集 18 (0), 5-5, 2003
一般社団法人 日本薬物動態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680600965504
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- NII論文ID
- 130004639245
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可