ピタバスタチンの肝取り込み過程におけるOATPファミリーの関与及び寄与率の評価

Description

【目的】ピタバスタチンは強力に血清コレステロールを低下させる新規HMG-CoA還元酵素阻害薬である。この種の薬物は肝臓に比較的高い集積が認められ、ピタバスタチンにおいても、ラット標識体投与で肝臓/血漿中放射能濃度比が最大で約54倍となり、肝取り込み過程にトランスポーターの関与が示唆される。一方、ヒト肝特異的に発現しているOrganic Anion Transporting Polypeptide (OATP) 2 (OATP-C/SLC21A6) 及びOATP8 (SLC21A8)は広範な基質認識性を有することから、種々アニオン系薬物の肝取り込みに重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、ピタバスタチンのヒト肝取り込み過程における各種OATPの関与を示すため、遺伝子発現系及びヒト凍結肝細胞を用いて、それぞれの寄与を定量的に評価することを目的とした。【方法】ヒトOATP2及びOATP8 を安定発現させたHEK293細胞及び複数のドナー由来のヒト凍結肝細胞を用いて標識化合物を用いた取り込み実験を行い、細胞内に取り込まれた放射能を測定することにより各トランスポーターの活性を評価した。【結果・考察】ピタバスタチンはOATP2及びOATP8発現細胞において、対照細胞と比較し、有意に時間依存的かつ飽和性のある取り込みが観察され、その親和定数(Km)はそれぞれ3.0±0.4 及び3.3±0.4 micromol/Lであった。またestrone-3-sulfate及びcholecystokinin octapeptideが両者間でそれぞれOATP2及びOATP8の特異的基質であることを利用し、P450の寄与率評価で用いられるrelative activity factor法の概念を用いて、ピタバスタチンの両トランスポーターを介した肝取り込みの寄与率を評価した結果、いずれのドナー由来の肝細胞においてもOATP2の寄与が大部分を占めることが明らかとなった。現在、Western blotによる発現蛋白量の比較など他のアプローチからも、算出された寄与率の妥当性を評価している。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601014528
  • NII Article ID
    130006984543
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.73.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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