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遅発性尺骨神経麻痺を呈した肘関節脱臼骨折の一症例
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【はじめに】<BR> 肘関節脱臼は骨折や靭帯・筋・血管損傷を伴う複合損傷であることが多く,稀に神経損傷を合併することがある.今回,複合損傷を伴う肘関節脱臼後,遅発性尺骨神経麻痺を呈した一例を経験したので若干の考察を加え報告する.<BR>【症例】<BR> 44歳,女性,右利き,職業スーパー店員.左肘関節後方脱臼に橈骨頭・頚部骨折,上腕骨内上顆骨折,肘内側側副靭帯(以下MCL)断裂を合併.自転車走行中に転倒受傷し当院搬送入院.受傷後1週にて観血的整復内固定術施行(手術所見1).術後3ヶ月頃遅発性尺骨神経麻痺と診断され,抜釘および尺骨神経剥離術とKing変法施行.同時に拘縮に対し,関節授動術を施行した(手術所見2).<BR>【手術所見】<BR> 1)関節包・MCL前斜走線維縫合,内側上顆骨片をscrew固定.橈骨頭はAcutrakにて骨接合.頸部は安定していたため固定せず.<BR> 2)尺骨神経は瘢痕組織に囲まれ,尺骨神経溝で細くなっていた.肉芽切除し神経剥離に内側上顆の部分切除を行い,screw抜釘した.拘縮に対し,MCL後斜走線維切離と前内側方の関節包切離を行った.関節可動域は術前屈曲115°伸展-30°から術中屈曲140°伸展-5°となった.<BR>【経過】<BR> 術直後より浮腫・腫脹に対し,冷却・挙上・手指運動を継続.術後3日より肘関節の自動介助運動を開始.術後2週より交代浴と他動運動開始.術後4週より重錘使用した持続矯正訓練開始.術後5週日中シーネ固定除去.術後11週頃から肘屈曲90°以上での手指尺側のしびれと脱力感出現し,その後小指球筋・骨間筋の萎縮を認め,遅発性尺骨神経麻痺と診断され,屈曲訓練を一時中止した.2回目の手術施行され,術後3日よりリハビリ再開した.<BR>【結果】<BR> 神経剥離術後よりしびれの軽減,脱力感も改善された.初回術後6ヶ月経過時の可動域は屈曲140°伸展-5°回内70°回外85°不安定性・疼痛なし.握力22.0kg(健側比66%)であり,日常生活動作は特に制限なく使用可能となり職場復帰した.<BR>【考察】<BR> 術中所見から今回の遅発性尺骨神経麻痺は瘢痕組織との癒着により絞扼されていたことが原因と思われた.癒着の原因として,複合損傷により関節の腫張・浮腫が強く,長期間残存していたことによるものと考えられる.今後,このような症例に対し,浮腫・腫張の残存は拘縮を起こすだけでなく,稀ではあるが,肘部深層での神経の癒着により絞扼され遅発性麻痺をおこす可能性があることを踏まえ,早期から炎症の沈静化・浮腫消退を目的としたアプローチを継続して行い,屈曲角度の獲得に伴い神経症状に気をつけ早期に対応していく必要があると考える.
Journal
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- Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu 2007 (0), 145-145, 2007
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680601023232
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- NII Article ID
- 130006984557
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed