DBS患者に対する在宅アプローチ

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  • ~他職種と協働し在宅支援を行った一例~

抄録

【はじめに】<BR> パーキンソン病に対する視床下核(STN)への脳深部刺激療法(DBS)は、2000年に保険適応が認められ、以降治療を受ける患者数が年々増加している。今回、他職種と連携を取りながら排痰困難を呈したSTN-DBS施行の症例について以下に報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 50代男性。パーキンソン病。当初夜間時の排痰困難に対する訪問看護の依頼であったが、看護師より運動療法適応有無の評価依頼があり、PT評価の後にリハビリ開始となった。Hoehn‐Yahr重症度分類ON時StageIII~IV OFF時StageV。日常生活動作(ADL):FIM98/126点。室内移動は伝い移動にてどうにか可能だが、左下肢の筋緊張亢進、易疲労性の為バランス悪く、屋外歩行はロフストランド杖を使用し見守りレベル。コミュニケーションに関しては、声量が小さく聞き取りにくい為に、聞き返すことが多く、時には筆談を交えて会話を行っていた。<BR>【アプローチと経過】<BR> 訪問開始時は、体幹を中心としたストレッチ体操や姿勢保持練習、呼吸筋トレーニング、口すぼめ呼吸、排痰法(咳嗽補助やハッフィング)の指導を実施。又、リハスタッフの訪問時は、上記に加え全身筋力練習、歩行練習やADL指導を実施。併せて、訪問日以外の自主トレーニングも指導した。<BR> 訪問3か月後、見守りにて屋外独歩が可能となった。ウォーキングもほぼ毎日行い持久性も向上した。又、夜間の排痰困難の訴えも減少した。しかし、訪問4ヶ月目以降より入退院を繰り返し、廃用症状の進行に加え転倒回数の増加を認め、又、精神的な不安や焦りも見られた。その為、他職種間で協議を行い、再評価の後にプログラム内容の再検討や環境調整(手摺りの設置)も実施した。<BR> 現在は、転倒回数も減少し訪問3か月頃のADLを維持されている。又、夜間の排痰困難の訴えも無く経過。更に活動性も向上しデイサービスの利用も開始した。<BR>【考察及びまとめ】<BR> 松尾はパーキンソン病では姿勢調整機能の障害に起因する前傾姿勢、呼吸筋の固縮・無動により呼吸運動の低下や二次的に起こる全体の肺活量の低下などのため、呼吸機能の低下を招くことが指摘され、呼吸筋の伸長、あるいは前傾姿勢の矯正を含めた呼吸運動は有効であると運動療法の介入の必要性を認めている。本症例は、夜間の排痰困難に対する吸引の依頼から開始したが、その根底に呼吸筋及び肺活量、全身持久力の低下や胸郭可動域の減少など改善すべき課題を多く抱えていた。これらの課題に対し、他職種間が協働(連携)し役割を確認しながら対応したことにより、呼吸機能(排痰困難)やADL・QOLの改善に繋がったと考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601081728
  • NII論文ID
    130006984606
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2011.0.150.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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