興味関心チェックリストを用いたリハプログラムの検討

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  • 長期入院患者へのアプローチ

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説明

【はじめに】<br> 長期入院の患者に対して、趣味などの活動に触れる、他人と接する場面を提供する、活動参加時に興味や関心を高めてもらうことを目的として、J. Matsutsuyu・小林の興味関心チェックリスト面接用紙(以下、チェックリスト)により評価を行い、リハプログラムを再検討し、実施した。また、QOLとして藤原のMILK微細成分濃度チェック表(以下、MILK)を用いて患者の「生き甲斐」の変化について分析した。<br> 【対象】<br> 平成17年10月から平成18年3月までの間に、当院特殊疾患療養病棟に入院中で、面接調査に対応できる男性10名、女性15名計25名を対象とした。平均在院日数556.1±375.0日、平均年齢77.6±10.2才、ADL区分では、独歩7名、車椅子自操14名、車椅子全介助4名であった。<br> 【調査方法】<br> チェックリストを院内活動に適するように一部変更し、5分野(手仕事・手作業、身体的運動、社会的レクリエーション、日常生活活動、文化・教育活動)60項目を点数化して、リハプログラム前後で調査した。また、MILKを用い、4要素(M:Movement、I:Intention、L:Life、K:Keeping)28項目についても点数化してQOLの変化をみた。<br> 【リハプログラム】<br> チェックリストの結果より、興味の偏っている患者を各分野にグループ分けし、病棟内ホールを活動場所として、1日30分から90分で週間スケジュールを組んだ。活動内容は、対象者全員で映画鑑賞・書道・音楽・風船ゲームなどのレクリエーションを行った後、各分野別に小グループをつくり、麻雀・裁縫・化粧・読書・花札・園芸・歩行などを実施した。<br> 【結果および考察】<br> チェックリストをリハプログラム実施前後で比較した。最も興味の高かった分野が更に高まった患者は8名(32%)、別の分野に興味の関心が移った患者が8名(32%)、興味の分野が分散した患者は4名(16%)、とくに変化がみられなかったのが5名(25%)であった。社会的コミュニケーション能力が全体集団としてあがり、個人レベルでも時間的観念や周囲と自己への関心が高まるなどの効果がみられた。 MILKによるQOLの変化では、全体としてM要素0.7%向上、I要素5.6%向上、L要素3.5%向上、K要素6.9%向上であった。すべての要素で向上がみられた。とくに「生きようとする力」としてのK要素と「心の動き」としてのI要素の向上が強くみられ、大きくQOLを変化させることはできなかったが、自己を取り戻すきっかけに繋がった。長期入院患者にとっての「人生の質」としてQOLを考えたとき、自分を取り戻すことが最初の大きな一歩であり、いかに個々の「人生の質」を考えながら取り組むかが今後の課題である。 チェックリストおよびMILKは、長期入院患者のリハプログラムを考えるとき有効に活用できることがわかった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601142016
  • NII論文ID
    130006984667
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2006.0.83.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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