訓練拒否を生じた患者様の在宅復帰までの試み

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タイトル別名
  • チームアプローチ、ADLに合わせた訓練を通じて

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説明

【はじめに】<br>認知症や精神的な影響により訓練の受け入れが困難な患者様は少なくない。今回、訓練拒否の傾向が強かった患者様が病棟におけるチームアプローチ、病棟内ADLに合わせたリハビリ、御家族との話し合いによる方向性の統一により、目標である自宅復帰が可能となった症例を担当する機会を得たのでここに報告する。<br>【症例紹介】<br><診断名>肺炎後廃用症候群。脳血管性パーキンソンニズム。肺気腫(消化管出血後)貧血。第4・5胸椎、第1・2腰椎圧迫骨折(H16.12月)。認知症。<基本情報>80代、男性。H17.6.11消化管出血にてA病院入院。H17.6.21肺炎を合併。全身状態安定し、H17.7.26リハ目的にて当院入院。8.29転棟。11.18自宅退院。訓練への受け入れは悪く、活動意欲は低い。妻(杖歩行)と2人暮らし。市内に娘在住。(在宅復帰は自宅内歩行の自立が条件。)介護度4<br>【PT評価:初期/最終】<br>GMT:上肢3-下肢3+体幹3+/上肢4下肢4-体幹4-振戦:下顎、四肢、体幹+(最終時同様)HDS-R:9点(記憶障害が著明)Yahr:stage3(最終時同様)歩行:歩行器歩行、骨盤中等度介助にて40m程度。パーキンソン様の歩行様式である。/歩行器歩行、自立レベル。杖歩行、転倒傾向+であり体幹軽度介助レベル。杖歩行にてパーキンソン様の歩行が著明となる。FIM:77点/93点<br>【取り組みと経過】<br>訓練開始当初より拒否傾向が強い患者様であり、常に車椅子を使用していた。取り組みとして、排泄時間や離床する時間を確認し、自宅での歩行の必要性を説明しながら歩行器での移動を促した。徐々に歩行の回数、距離の延長を図りながら病棟内移動での歩行を勧めた。介助されることを極端に嫌う患者様であったため、センサーマットにて病棟スタッフが常に介助できる体制で病棟内を自立歩行とした。歩行能力の向上に伴い、腰痛緩和の温熱療法目的にてリハ室までの歩行や買い物目的の売店までの歩行が可能となった。退院前訪問は患者様が拒否したため、ご家族とスタッフのみで行い、自宅内歩行が歩行器使用にて可能であることを確認した。在宅復帰の条件である自立歩行は可能となったが、「家屋に合わない」との患者様の思いがあったため、ご家族、スタッフのみの話し合いで杖歩行での転倒の危険性を説明し方向性を確認した。その結果、御家族の説得にて歩行器の自宅使用を了承した。退院後も自宅にて歩行器を使用している。<br>【まとめ】<br>訓練を頑なに拒否する患者様においてADLの場面から少しずつ介入し、必要な動作を認識して頂く事でその糸口を見つけることができた。また、患者様が納得できる状況を病棟と連携して築けた事、問題点などを事前に話し合い、ご家族を介して説明して頂き、理解を得たことが自宅復帰を可能にできた要因と考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601155840
  • NII論文ID
    130006984677
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2006.0.78.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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