後脛骨筋腱縫合術後の腱修復機序に基づく運動療法

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  • ~早期運動療法の重要性~

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【はじめに】<BR> 近年、後天的に生じる偏平足障害が問題となっているが、外傷性偏平足障害に関するまとまった数の報告は少なく、その中でも後脛骨筋腱(以下PTT)単独断裂例の報告は少ない。そこで今回、外傷によりPTT断裂を受傷した症例への理学療法を経験させて頂いたので、経過及び考察に若干の知見を含め報告する。今報告に関しては症例の了承を頂いた。<BR>【症例紹介・術中所見】<BR> 扉を蹴りその際のガラス破損にて受傷。右足関節内側部開放創、PTT部分断裂し当日腱縫合及び開放創処置、シーネ固定を受ける。術中所見において屈筋支帯は切離されており、PTTは2/3にわたり断裂を認めた。<BR>【経過と理学療法介入方法】<BR> 術後翌日からシーネの固定性を確保した上でのMP関節以下他動関節可動域訓練とともに、微弱電流とアイシングの併用にて腱滑走、炎症軽減を促した。1週経過時よりMP関節以下自動運動開始。2週経過時より固定下におけるPTTに対する低周波刺激を行った。また、セラピスト管理下のもと足関節底屈内反位holding運動を実施。3週後にDr.指示のもとシーネ固定除去となり、支柱つきエバーステップ装着にて全荷重歩行許可となるも疼痛による跛行が著明であった。また、腱縫合部に圧痛を認め背屈10°外がえし5°と制限が認められた。5週後より伸長訓練、6週後より軽いブロッキング訓練から徐々に抵抗量を増加させながら進めていった。8週経過後の足関節可動域には左右差はみられず、MMTにおいてもPTT5レベルと改善した。圧痛は軽減するも未だ残存し、歩行時の立脚相終期を通し後足部外反が増強した。そのためインソール挿入によるアプローチを実施した。<BR>【結果】<BR> 約6ヶ月経過後、職業や趣味であるスポーツ活動に復帰され理学療法終了となる。<BR>【考察】<BR> 本症例においては、固定期間中の距腿関節や横足根関節の関節運動の不足から、屈筋支帯の癒着や縫合部でのPTT腱鞘の損傷で起こるBowstringが滑走不全を引き起こし、荷重時のPTTの伝達機構に破綻が生じている可能性が考えられる。狭い範囲でのクリーンカットによるPTT単独の部分断裂であったこと、停止部付近の滑走機能欠如に加えて腱修復の断端離開が1~2週の間で起こる事を考慮すると2週の固定後に腱伸長を伴う関節運動を愛護的に実施していくべきであったと考察する。また、筋収縮に伴う関節運動負荷を加えておく事で抗張力を増加させ歩行時の正常なアライメント上での腱機能を獲得できたのではないかと考察される。PTTに求められる機能は荷重下での距骨下関節の制動が主であり、heel rise期以降のPTT機能低下による距骨下関節での不十分なロッキングが短腓骨筋の相対的優位に繋がり、時間経過における後足部アライメントやアーチ機構の破綻となってくることが予測されるため、継続した対応が必要と考える。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601222272
  • NII Article ID
    130006984747
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2011.0.203.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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