中学陸上部の短距離・長距離選手における競技別の特性について
Description
【はじめに】<BR> 当院は平成17年よりこどもスポーツ専門外来として、小・中学生を対象に運動能力評価・視覚機能能力検査・パフォーマンス等を行い、スポーツ障害の予防に努めている。<BR> 平成22年9月よりS中学陸上競技部において、スポーツ障害予防の観点からメディカルサポートを行った。競技別の特徴を調査し把握することにより、より細かな障害予防に役立てる目的にて、当院のこどもスポーツ専門外来で実施している運動能力テストを短距離・長距離選手に実施し比較・検討を行い、若干の知見を得たのでここに報告する。<BR>【対象・方法】<BR> 2010年S中学陸上競技部に所属している1,2,3年生の男女20名、身長156.7cm± 7.8cm、体重46.3±7.4kgを対象とした。運動能力テストは、立ち幅跳び、垂直跳び、反復横跳び、片脚立位時間、往復時間走(5mシャトルラン)、SLR、HHDの以上の7項目を行った。今回は短距離と長距離の2群に分類し、それぞれ競技別の運動能力テスト結果の比較検討を行った。またこれらはヘルシンキ宣言に則り、S中学陸上部における学生・先生に十分に説明し同意を得たうえで実施した。統計処理にはt-検定を用い統計的有意水準は5%とした。<BR>【結果】<BR> 立ち幅跳び、垂直跳び、反復横跳び、往復時間走において長距離よりも短距離のほうが有意に高い値を示した。片脚立位時間(左側)で短距離よりも長距離のほうが有意に高い値を示した。<BR>【考察】<BR> 今回の測定において、短距離および長距離の特性が現れる結果となった。短距離選手では特に瞬発力・敏捷性を必要とする立ち幅跳び・垂直跳び・反復横跳びに高い値を示していた。往復時間走も短距離選手のほうが有意に高い値を示した。これは計測時間が15秒間であり、場所の都合上、5mシャトルランを実施したことでさらに方向転換時に素早い動きが必要となったため、全身持久力よりも敏捷性に比重が強かったということが推測される。<BR> 長距離選手の特徴はバランス能力をみる片脚立位時間(左側)においてのみ有意に差があった。中学生の長距離選手は1500・3000mとトラック内での競技であるが、短距離よりも爆発的な力を必要とせず、全身持久力・一定のフォームが必要なため、短距離よりも左右均等な力が生じやすいことがいえる。またトラック競技では倒れないようにより内側へ重心がかかるため、左足でのバランスに有意に差が出たと推測した。さらにS中学の長距離選手たちは練習場所として400mトラックではなく、校内の運動場を大きく使っており急なコーナリングがないことも原因ではないかと考える。<BR> 今回はS中学陸上部において短距離・長距離選手に分けて比較検討を行ったが、その競技の特性・特徴をとらえた結果が得られたのではないかと考える。また今後は興味深い結果となった競技別のバランス能力についての知識・調査を深めていくこと、さらには砲丸投げ、走り幅跳びなどフィールド競技選手との比較や疾患別での比較も行い、競技の特性についての検討を深めて障害予防に努めていきたいと考えている。
Journal
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- Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu 2011 (0), 217-217, 2011
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680601245568
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- NII Article ID
- 130006984765
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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