意識障害のリハビリテーション

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  • 目が覚めればリハビリは進む!

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説明

【はじめに】<BR>  脳血管疾患による意識障害が段階的に改善された一症例について、知見を得たので報告する。<BR> 【症例紹介】<BR>  A氏70歳代男性。X年11月にTIA発症、右内頸動脈の狭窄あり。極軽度の左片麻痺・左半側空間無視出現。X+1年6月に右脳梗塞再発。初期評価時の意識清明度Japan Coma Scale(以下JCSとする)II-30で、高次脳機能障害の疑いあり。身体機能は左片麻痺Brunnstrom Stage上肢III-手指II-下肢IIIであった。<BR> 【経過およびOTアプローチ】<BR>  開始当初は意識低下・左片麻痺・高次脳機能障害の影響強く坐位保持困難であった。初期は意識清明度を向上させるため、積極的に坐位訓練を実施し言語刺激入力量を増大させた。左半側空間認知低下も認められたため、家族に左側からの刺激を増やすよう指導。JCSII-10で、姿勢矯正鏡を使い視覚的フィードバックを利用して端坐位保持訓練開始。JCSI-2で視覚フィードバック・言語指示により坐位保持の努力性認められるようになる。言語指示で移乗が一部介助となり、移乗動作の家族指導を開始、日中の離床時間を増やしていった。X+1年7月に右脳梗塞再発。JCSII-10、左片麻痺の軽度の増悪あり。意識が日や時間帯により変動あることが判明。睡眠薬として使用していたエチゾラムを医師と相談し中止する。JCSI-2、移乗・端坐位保持の介助量軽減。退院間近になると家族への依存心強くなり、介助量増大する。本人のできる動作を積極的に行い、モチベーション・自立心の向上に努める。移乗、坐位保持は近位監視レベルで自宅退院された。<BR> 【考察】<BR>  意識は全ての精神機能の土台であり、意識水準が低下すると、それより上位の機能(注意・感情・意欲・記憶・言語・認知・行為)はすべて悪影響を被る。そのため、本症例では最も先に意識障害に対してアプローチする必要性が高かった。意識レベルが向上してからは視覚フィードバックや言語指示が入力されやすくなり、身体機能・高次脳機能の治療促進にも繋がった。訓練内容を、傾眠で覚醒の持続しない時期から移乗動作に焦点化し、簡略した動作を反復訓練したことが効果的であったと思われる。意識障害改善後の心理変化にも留意し、抑うつ状態に陥らないよう配慮することも重要である。本症例においては、睡眠剤の使用が意識障害の要因のひとつでもあり、早期から薬剤の使用について考慮する必要があったと思われる。<BR> 【まとめ】<BR> 1.意識障害の度合いによって訓練を変えていくことが重要2.離床増のためには、起居動作~移乗の家族指導を早期から開始することが効果的3.薬剤、心理状態等の二次的な要因の考慮が必要

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601555456
  • NII論文ID
    130006985063
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2008.0.213.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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