重度痙直型アテトーゼ型脳性麻痺者の理学療法

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  • ~Hands on therapyと姿勢ケアのコラボレイション~

Description

【はじめに】<BR> 脳性麻痺児・者の理学療法には、「機能の獲得・発達」という目標と、「姿勢ケア」という目標の二つの側面がある。これら二つの目標は切り離せず、一環し日常生活場面で24時間アプローチが行われなければならない。今回、重度痙直型アテトーゼ型脳性麻痺者一症例に対し、Hands on therapyと姿勢管理の相乗効果をみていき、若干の知見を得たので報告する。<BR>【評価方法】<BR> Hands on therapy前後や経過の中で、スパイロメーターを用いて、VC・V PEAK・V 50%を比較した。なお本研究は所属施設の倫理委員会の承認を経て、文章を用いて被検者に説明し同意を得た上で行った。<BR>【症例紹介】<BR> 20歳代・男性。診断名:脳性麻痺。障害名:四肢麻痺(重度痙直型アテトーゼ)。在胎33週・体重:1800g・仮死にて出生。すぐに、A病院救急搬送。2~3日後には生命安定。その後リハ開始、小学校高学年・中学・高校は長期休暇のみリハ施行。平成16年3月より、週一回のリハフォロー開始、現在に至る。著明な変形は、胸椎部に右後方凸で側彎および後彎および左側は前方凸で前彎、下部腰椎部に左凸の側彎がみられる。日常の姿勢は、電動車椅子で過ごすことが多く、顎で操作して移動。また家では、背臥位・右下側臥位にてテレビ等を見て過ごすことや、W-Sittingにてパソコン操作を行なう時もある。基本動作・ADLは全介助。身体機能は、顎以外ほとんど随意性はなく、わずかにあっても不確実。また、構音障害はあるものの、コミュニケーションはすべて可。<BR>【理学療法】<BR> Hands on therapyは、臥位で両坐骨の圧を与え安定した支持基底面の中で、代償的な過剰固定による姿勢保持を減弱させたリラックスした姿勢の経験を促し、支持基底面を認識させる。その為に必要な、異常姿勢筋緊張を調え環境適応を促す。その中で、胸郭のモビリティーを出し、変形を減弱させる。そして姿勢ケアは、変形の増強の予防を含めた、日常管理・家族指導も含めた総合的なアプローチを行なう。また、姿勢能力に影響を与える、移動用器具・能動的な運動練習(意識も含め)・装具を作成する。<BR>【結果及び考察】<BR> Hands on therapy 前より後は、VC・V PEAK・V 50%すべてが向上した。また、次のHands on therapy 前時には、ほぼ前回同様の結果となっていた。その後、姿勢ケアも理学療法に加え行うと、次回のHands on therapy前まで治療効果がcarry overした。また、姿勢ケアだけでは、スパイロメーターの値は変化しなかった。これらの結果は、Hands on therapyと姿勢管理の二つが切り離すことができず。一環し日常生活場面で24時間アプローチが行われなければならないことを示している。また、その前程には、私たち理学療法士の本質ともいえるHands on therapyなくしては、二つの目標を達成できないということを示している。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601616384
  • NII Article ID
    130006985119
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2007.0.36.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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