カルバペネム系およびペネム系抗生物質のラット小腸における吸収挙動
説明
【目的】カルバペネム系およびペネム系抗生物質は広い抗菌スペクトルと強い抗菌力を示し、各種感染症の治療に使用されている。これらの抗生物質は難吸収性であるため、ほとんどが注射剤として市販されている。我々はこれまでに、セファゾリン等の難吸収性セフェム系抗生物質の消化管吸収には、P-糖たん白質とは異なる排出輸送担体が関与していることを報告してきた。そこで今回、カルバペネム系およびペネム系抗生物質の難吸収性の原因を明らかにすることを目的として、モデル薬物としてメロペネムとファロペネムを用い、in situ ループ法ならびにin vitro Ussingチャンバー法にて検討を行った。<BR>【方法】実験にはWistar系雄性ラットを用いた。常法に従い、十二指腸、空腸および回腸に10cmのループを作成し、各ループ内にタイロード液で調製した薬物溶液を注入して30分後のループ内残存量を測定した。また、ラットの空腸および回腸部をUssingチャンバーに装着し、薬物溶液を粘膜(M)側または漿膜(S)側に添加した時の薬物の透過挙動を経時的に測定した。薬物の定量はすべてHPLCにて行った。<BR>【結果・考察】メロペネムの回腸ループからの消失は、十二指腸および空腸ループに比べ有意に高いことが示された。また、in vitro 小腸透過実験では、メロペネムのS側からM側への透過量は、空腸部および回腸部ともにM側からS側への透過量に比べ高く、分泌指向性を示した。さらに、タイロード液中のD-glucoseを3-O-methyl-D-glucoseに置換したところ、S側からM側への透過量は減少し、M側からS側への透過量とほぼ一致した。これらの結果より、メロペネムの消化管吸収はエネルギー依存的な排出輸送担体により抑制されていることが示唆された。なお、メロペネムを局方第1液に溶解し分解を経時的にみた結果、非常に不安定であった。現在、ファロペネムについて同様の方法にて比較検討中である。
収録刊行物
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- 日本薬物動態学会年会講演要旨集
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日本薬物動態学会年会講演要旨集 18 (0), 258-258, 2003
一般社団法人 日本薬物動態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680601894400
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- NII論文ID
- 130006985373
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可