止痒薬TRK-820とケトコナゾールとの薬物相互作用予測
説明
【目的】難治性そう痒症に対する止痒薬として開発中のTRK-820はグルクロン酸抱合を受けるとともに、CYP2C8、2C19、3A4によって代謝される。CYP3A4の強力な阻害剤であるケトコナゾールによるTRK-820への薬物相互作用をヒト肝ミクロソームから予測し、実際のヒトにおける薬物相互作用の程度と比較した。また、ヒト凍結肝細胞を用いグルクロン酸抱合への代謝の分配を補正した予測を行った。<BR>【方法】ヒト肝ミクロソームを用いた代謝阻害実験から阻害定数Kiを算出した。併用薬の肝臓中非結合形濃度から併用時におけるTRK-820のAUCの変動率を1+(Iu/Ki)として予測した(Method 1)。また、TRK-820の肝固有クリアランスからwell-stirredモデルによりAUCの変動率を計算した(Method 2)。ヒト凍結肝細胞を用いて代謝全体に占めるP450代謝の割合を求め、well-stirredモデルによりAUCの変動率を算出した(Method 3)。<BR>【結果・考察】ケトコナゾールはTRK-820の代謝を阻害しKiは0.102μmol/Lであった。Method 1によりケトコナゾール併用時のAUCの変動率は34.1倍と予測され、ヒトでの実測値2.81倍と乖離した。Method 2ではAUCの変動率が5.41倍となった。Method 2ではTRK-820が肝臓で全てP450代謝を受けると仮定しており、予測値が実測値を上回ったと考えられた。Method 3ではAUCの変動率が1.58倍となりMethod 1に比較して実測値に近い値を示した。Azole系抗真菌薬のグルクロン酸抱合への阻害が報告されている。Method 3ではグルクロン酸抱合の阻害を受けないと仮定したが、現在グルクロン酸抱合への阻害を含めた予測を検討している。
収録刊行物
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- 日本薬物動態学会年会講演要旨集
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日本薬物動態学会年会講演要旨集 18 (0), 240-240, 2003
一般社団法人 日本薬物動態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680601920640
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- NII論文ID
- 130006985395
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可