長下肢装具を使用しての早期からの起立・歩行訓練の有効性

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  • ~既製品長下肢装具の使用経験を通して~

抄録

【はじめに】<BR>脳卒中ガイドライン2009では早期からの座位・立位、装具を用いた歩行訓練は、早期のADL向上と社会復帰に効果があるとしている。重度の弛緩性麻痺や感覚障害のある患者では起立・歩行訓練を行うことは容易ではない。そこで検討されるのが長下肢装具である。石神らによると長下肢装具の処方は麻痺の程度にかかわらず、発症後2~3週といわれている。さらに処方から装具の完成まで1~2週かかるため、発症から3~5週の間、積極的な起立・歩行訓練ができない。今回、3~5週の期間での積極的な起立・歩行訓練を実施できたので報告する。<BR>【対象・方法】<BR>意識レベルが1桁から清明、Brunnstrom recovery stage(以下Br.stage)_I_から_III_で訓練時に長下肢装具を必要とする初発脳卒中片麻痺患者を対象とし、対象にBr.stage(上肢、手指、下肢)、基本動作の介助量(坐位保持、起立、立位保持、歩行)を当院入院時、長下肢装具完成時の装具未装着時、装具装着時を測定した。訓練は通常訓練に加えて、50回以上の起立訓練、平行棒内で20m以上の歩行訓練を行った。既製品長下肢装具はアドバンフィット社製のアドフィットKAFOを選択した。アドフィットKAFOとはツイスロンスポンジとベルクロを使用し太さの調節が可能で、支柱部をねじ式にすることにより長さの調節も可能な左右兼用の長下肢装具である。<BR>なお本研究は当院の倫理委員会により承認を受けており、対象者もしくは家族に本研究の目的および内容を説明し、同意を得た上で実施した。<BR>【症例】<BR>73歳、男性、脳梗塞(右MCA)左片麻痺。発症後3日よりリハビリ開始し、開始時はJCS_I_桁、麻痺側のBr.stage上肢_I_、手指_I_、下肢_II_、基本動作は全介助であった。全身状態安定し、発症後36日に当院へ転院。当院でのリハビリ開始時はBr.stage上肢_II_、手指_II_、下肢_II_、基本動作は全介助で長下肢装具の適応と判断したため、リハビリ初日よりアドフィットKAFOを装着しての起立・歩行訓練を開始。アドフィットKAFO使用時の基本動作は坐位保持最小介助、起立最大介助、立位保持全介助、歩行全介助であった。その後もアドフィットKAFOを装着しての起立・歩行訓練を継続し、発症後62日で装具を処方し、70日で長下肢装具完成(膝継ぎ手にSPEX、足部はSHBを使用)。完成時の装具未装着時がBr.stage上肢_II_、手指_II_、下肢_III_、基本動作が坐位保持最小介助、起立中等度介助、立位保持中等度介助、歩行全介助で、装具装着時が坐位保持監視、起立中等度介助、立位保持監視、歩行中等度介助であった。その後は長下肢装具による起立・歩行訓練を継続して行っている。<BR>【考察】<BR>今回の症例において、発症から長下肢装具完成までに2ヶ月以上要している。しかし、アドフィットKAFOを使用することによって、当院入院から長下肢装具作成までの期間に起立・歩行訓練を中止することなく継続した訓練を行うことができた。基本動作の介助量に関しても長下肢装具作成までに軽減している。しかし、長下肢装具による効果のみとは断定はできない。今後は長下肢装具による効果等含め調査を行っていく。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680601996288
  • NII論文ID
    130006985458
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.28.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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