タオルギャザーが歩行に及ぼす影響について

  • 二宮 省悟
    九州看護福祉大学 看護福祉学部 リハビリテーション学科
  • 宇都宮 司
    九州看護福祉大学 看護福祉学部 リハビリテーション学科
  • 森本 将司
    医療法人 慧明会 貞松病院 リハビリテーション科
  • 櫟本 浩太郎
    介護老人保険施設 樹心台
  • 前山 政剛
    医療法人 回生会 堤病院 リハビリテーション科
  • 鍋島 健太郎
    公立玉名中央病院 リハビリテーション科
  • 西原 翔太
    社会医療法人 緑泉会 整形外科米盛病院 リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • ~ブラインドウォークを用いての検討~

説明

【はじめに】近年,動的関節制動訓練(DYJOC訓練)に関する研究では,立位による静的バランス・動的バランス共に改善するという報告がなされている。しかし,動的バランスに関しては改善しないという報告もなされている。様々な報告があり,動的バランスの改善を検証するために,今回私達は,DYJOC訓練の中で特に足趾の固有受容器を刺激するタオルギャザーを用いることにより,動的バランスや歩行にどのような影響を及ぼすのか調査した。健常人の歩行における動的バランスに関して,大塚らによると視覚は人の感覚の80%を司っていることを示唆している。そこで,視覚的フィードバックを除いたブラインドウォーク(以下:BW)を実施し,若干の知見を得たためここに報告する。<BR> 【方法】対象者は同意を得られたK大学の健常者11名(男性6名,女性5名,平均年齢21.2±0.7歳)である。実施期間は治療群1週間、コントロール群1週間の計2週間とし,1日計6回のブラインドウォークを行った。少ないデータ数の為,対象者全員をコントロール群とし,期間を空け,引き続きタオルギャザーを行う治療群とした。BWのコースおよび測定は,長さ15m幅80cmで設置し,アイマスクを着用しコース内を歩行させ,スタートラインからコースアウトした地点までの距離を記録した。比較・検討には歩行距離の最小値,最大値,平均値にt検定を用いた。また,歩行時のアイマスク着用における心理的な影響を考慮し,試行の前後に恐怖感のアンケートを取った。<BR> 【結果】治療群において,最小値の初日(606.7±234.4cm)と最終日(767.8±264.0cm) (p<0.05),最大値の初日(1216.7±328.7cm)と最終日(1354.4±189.8cm) (p<0.05),平均値の初日(835.1±175.5cm)と最終日(1053.3±173.4cm) (p<0.05)であり、それぞれ有意差がみられた。また、コントロール群においては,最小値の初日(443.3±129.1cm)と最終日(533.3±212.4cm) (p<0.05)であった。恐怖感のアンケートについてはコントロール群の初日において,特に強い傾向があった。<BR> 【考察】今回,治療群の初日と最終日の比較において,全ての値に有意差がみられたことから,タオルギャザーがBWからみた動的バランスの改善に有用であったと示唆される。また、最小値に関しては、コントロール群よりも向上している。これは,タオルギャザーが足底の固有受容器,特に足趾の固有受容器を促通したことにより,静的バランスだけでなく歩行時の動的バランスにも影響を及ぼし,BWにおける歩行距離を向上させたと考えられる。しかし,コントロール群の初日と最終日の比較において、最小値に有意差がみられた。これは,アンケート結果より心理的影響が強いのではないかと考えた。今後の課題として,恐怖感の影響も示唆されたため心理的影響を極力排除し,データ数を増やすことにより更なる検討を行う必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602011648
  • NII論文ID
    130006985488
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.349.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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