腰痛患者に対する動作分析の重要性

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抄録

【はじめに】<BR> 今回、急性腰痛を反復して引き起こす日常的に異常姿勢を呈した症例を担当した。石井は静止時での不良姿勢から日常の習慣的な運動ハ゜ターンを反映することは少なくなく、動的状態を推測するヒントになると述べている。本症例の姿勢・歩行動作分析において、疼痛回避での異常姿勢ハ゜ターン・骨盤傾斜に問題点を挙げた。そこで症例自身に姿勢フィート゛ハ゛ックと動作指導を行ったことで動作上での疼痛の軽減が得られたので報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 年齢:30歳代、女性<BR> 診断名:腰部脊柱管狭窄症、筋・筋膜性腰痛症<BR> レントケ゛ン所見:L4-5間狭窄(+)<BR> 職業:テ゛スクワーク(事務作業)<BR> 腰痛の既往:平成18年6月に急性腰痛発症(起床時)。その後4回程度急性腰痛あり(起床時・立ち上がり時)。今回が5回目の発症。<BR>【姿勢・歩行動作分析】<BR> 1.頚椎:伸展(前方突出)<BR> 2.肩甲骨:内転・下方回旋、肩甲帯の伸展<BR> 3.胸椎:後弯減少、腰椎:前彎減少<BR> 4.骨盤:前傾、股関節:内旋・屈曲、膝関節:屈曲<BR> 5.Heel Contactの不良と歩幅の減少、Heel Offの減少<BR>【問題点】<BR> 1.異常姿勢ハ゜ターンを症例自身が正常ハ゜ターンと学習していること(疼痛への恐怖感)<BR> 2.過剰な体幹後面のglobal muscleの筋緊張亢進<BR> 3.腹筋筋力低下<BR>【フ゜ロク゛ラム】<BR> 1.姿勢鏡・画像を用いての異常姿勢ハ゜ターンの認識<BR> 2.姿勢鏡・画像を用いての正常坐位・立位姿勢の再教育<BR> 3.動的セルフストレッチの指導(在宅・仕事中での自主練習も含む)<BR>【結果】<BR> 1.坐位・立位姿勢の再認識の獲得<BR> 2.不安の減少した動作の獲得(坐位からの立ち上がり)<BR> 3.姿勢の改善に伴う歩行時の歩幅の増大と骨盤の側方動揺と回旋の出現<BR> 4.FFDの拡大とリス゛ムの正常化<BR>【考察】<BR> 福井は日常生活やスホ゜ーツ動作で、固有の運動ハ゜ターンを繰り返し続けていると、その運動の影響は構築学的変化をもたらす。また、関節間の関連動作を筋力検査などの個別検査と動作分析を結ぶ新たな位置付けのもとで評価しなければならないと報告している。外来リハヒ゛リテーションにおいて理学療法の評価・治療を行うにあたり、入院患者とは異なり、通院に関して時間的・頻度的問題を考慮する必要がある。その上、対費用効果をも得るためには、最良の満足した結果をだすためのスヒ゜ート゛が当然必要である。そのためには、疼痛に対する手技的治療も有効であるだろうが、姿勢や運動ハ゜ターンなどの関連動作を分析・把握し、その人の動作上での痛みの原因追求していくことが重要であり、このことが姿勢・動作上での腰痛再発の予防にも有効であると考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602047488
  • NII論文ID
    130006985550
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2007.0.83.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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