手外科疾患に対するリハビリ評価改善の取り組み
書誌事項
- タイトル別名
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- ~腱移行術の症例を経験して~
抄録
【はじめに】<BR> 当院は手外科専門医による手術が年間200例を超える日手会基幹研修施設であるが,治療法の進歩とともにリハビリテーションも変遷し加速化している.そのため実績に応じて効果的・効率的な方法の模索が必要である.その第一段階として,疾患に適合した適切なリハビリ評価が求められる.今回,対象疾患別に日手会機能評価表で当院の症例のデータ蓄積と分析を行い,現状でのリハビリ効果と,当院が急性期病院であることを踏まえ問題点を把握したいと考える.今回は第一報としての症例を提示する.本研究は,当院の倫理委員会より承認を受けている.<BR>【対象と方法】<BR> 対象は手外科疾患.年齢と性別は問わず,治療開始と終了日に日手会機能評価を行った.さらに上肢能力障害はDASH日本手外科学会版(以下DASH)評価を行った.<BR>【代表症例】<BR> 20代男性,利き手は右,事務職.左上腕骨骨幹部骨折後の橈骨神経麻痺による左下垂手.受傷後7日目に上腕骨骨接合術と橈骨神経剥離を行った.術後2日目にリハビリを開始した.しかし,麻痺は回復せず受傷後76日目にRiordan法による下垂手再建術を行った.術前MMTは円回内筋・橈骨手根屈筋ともに4,橈骨手根伸筋・指伸筋・長母指伸筋ともに2で,握力は右31.1kg,左14.1kgであった.tipピンチ2.6kg,keyピンチ5.0kgであった.DASH48/100点,仕事では81/100点であった.術前は関節可動域の改善・移行筋力の回復を図った.術後,ギブスシーネ固定し,2週目より手指伸展・手関節背屈・前腕回外・肘屈曲位のナイトスプリントを作製した.移行腱の筋張を考慮し,少しずつ調整し機能的肢位に近づけていった.第3週以降に自動可動域訓練を連動運動から行い,6週以降に分離運動を行った.8週目には抵抗運動を追加した.約3ヶ月後治療最終日,握力は右32.8kg,左26.7kg.tipピンチ4.6kg,keyピンチ5.2kg.DASH8/100点,仕事では6/100点と向上した.<BR>【考察】<BR> 手外科疾患のリハビリは,疾患ごとに設定した適切な機能と能力評価が不可欠である.特に腱移行術は術前に拘縮の除去・移行筋力の回復が必要とされている.術前にその評価を行うことによって,術前リハビリのプログラムを立案できる.日手会機能評価とDASHの応用は,術前に症例の問題点を知り,術前リハビリのプログラム作成の要点を認識できた.問題点はリハビリテーションが加速しているので,機能評価の時期・信頼性向上・合併症の予防がやや困難となっている点である.DASHは健側手での代償と,設問に女性や高齢者が答えにくい部分もあり,患手のADL使用状態を把握しにくい等の点である.また,当院が急性期病院であるため,入院日数は短縮化している.故に術前のリハ評価・訓練は十分に行えていないのが現状である.これらを改善するために,疾患毎に評価時期を設定したシステムの構築,DASH評価の見直し,リハビリの日常的遂行が必要である.日手会機能評価を今後も効果的・効率的に使用していきたいと考える.
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2011 (0), 129-129, 2011
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680602203776
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- NII論文ID
- 130006985680
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可