理学療法士養成校の新入生における持久力と学力の関連性

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抄録

<p>【背景】</p><p>持久力は学力と関連することが知られている.先行研究の多くは学童期の学生を対象としているが,青年期にあたる専門学校学生については不明である.</p><p>【目的】</p><p>本研究の目的は,本校理学療法科1年次における学生の持久力と学力の関連性を調査することとした.</p><p>【意義】</p><p>持久力と学力の関連性を調査し,より良い学内教育の一助とすることである.</p><p>【方法】</p><p>2015年度に本校理学療法科に入学した新入生38名のうち,データ測定が可能であった33名を対象に,後期授業開始直後に持久力の測定としてシャトルランを実施した.前期試験として実施した解剖学,運動学,生理学の平均点(3科目試験結果)とシャトルランの回数の相関を検討した.その他,社会人経験の有無および家庭環境として母子家庭か否かについて,入学時の個人調書から情報を得て,それぞれ2群間の比較を行った.また,上記検討項目について,性別によるサブグループ解析を行った.有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>対象者33名は男性27名,女性6名,平均年齢23.4±17.1歳,社会人経験者7名,母子家庭9名であった.シャトルランの回数は全体で75.8±24.2回,男性78.5±23.4回,女性47.0±14.6回であった.3科目試験の結果は,全体で74.6±12.8点,男性74.0±14.1点,女性77.1±7.5点であった.3科目試験結果とシャトルランの回数の相関は,全体において有意差はみられなかったが,男性において有意差が認められた(p = 0.03, r = 0.4).社会人経験の有無と母子家庭か否かの比較は,それぞれ有意差はみられなかった(p = 0.4, p = 0.8).</p><p>【考察】</p><p>シャトルランの回数と3科目試験結果は,男性において有意な相関関係にあった.先行研究において,持久力と学力は相関関係にあることが示されており,本研究においても同様の結果が得られた.また,多くの先行研究が学童期の学生を対象としているのに対し,本研究は高校卒業以降の青年期を対象としたが,上記の相関において同様の結果であった.運動が学力に影響を及ぼすメカニズムとして,運動に伴う海馬の血流量増加及び神経新生の増加などが考えられているが,本研究は横断研究であり因果関係については考察できない.女性において相関関係が認められなかった原因として,本研究では女性が6名とサンプルサイズが少なく,βエラーの可能性が考えられる.社会人経験や家庭環境の違いによる差は有意ではなかった.今後,更なる検討を重ねると共に運動介入による効果を検証していきたい.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究への参加は自由意志とし,不参加による不利益は生じないことを説明した.本研究実施に際し,利益相反に関する開示事項は無い.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602214144
  • NII論文ID
    130005175285
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2016.0_130
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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