右大腿骨頚部内側骨折により人工骨頭置換術を施行した症例

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  • ~早期に靴下着脱動作獲得を目指して~

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【はじめに】<BR> 人工骨頭置換術は、術後脱臼の危険から禁忌肢位の原則や生活環境および生活様式の変更が余儀なくされる。また、脱臼への理解がある患者であっても動作実施時においては意識が希薄になりやすいのが現状である。その中で、身辺日常生活動作(以下、身辺ADLと略す)にて最も脱臼肢位をとり易い靴下着脱動作の早期獲得が達成できれば、その他身辺ADLも脱臼肢位に留意した状態で自立できるのではないかと考えた。受傷前同様に端座位での動作獲得図る為、股関節屈曲角度と端座位での指尖~足趾リーチ間距離に着目し訓練検討、実施した為、考察を含め以下に報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 70代、女性 自宅近くにて転倒し右大腿骨頸部内側骨折 (garden_IV_)受傷。入院より1週間後、大腿骨置換術施行し術後2日目でリハビリ介入となる。既往歴:10代 肋骨カリエス、30代 肺結核(左肺全切除)、50代 左大腿骨頸部外側骨折・喘息、60代 腰椎圧迫骨折<BR>【訓練経過】<BR> 術直後より靴下着脱動作獲得に向け足趾へのリーチ訓練開始。導入時、指尖~足趾間距離24cmと制限著明であったが、自重荷重を継続し実施する事で訓練開始7日後に指尖~足趾間距離0cm達成し下衣更衣動作獲得する。訓練開始11日後には指尖~足趾間距離-4cmと著明な改善みられ靴下着脱動作獲得。<BR>【考察】<BR> 座位での靴下着脱動作は先行研究より股関節屈曲角度92°±6°にて獲得できると報告されている。本症例の股関節屈曲角度は90°と良好であり、加えて身長よりも指極が長く、禁忌肢位をとらず十分なリーチ範囲が獲得できると考えた。また、過屈曲回避を目的に下腿長より高い台へ端座位での動作獲得を検討した。術直後は術創部痛による可動域狭小化が認められた為、自重荷重による股関節屈曲角度の改善とリーチ範囲の拡大を図った。その結果、術直後は端座位での指尖~足趾間距離24cmと制限著明であり全介助要す状態であったが、訓練開始11日後には-4cmとなり靴下着脱動作獲得が図れた。しかし、着脱動作時、禁忌肢位である股関節過屈曲が生じリスクの高い場面が多々認められた。そこで、症例の脊椎変形による骨盤の可動性・柔軟性低下と座位アラインメントに着目し再度アプローチ実施。自重および、徒手的に促す事で可動性および柔軟性が向上し、過屈曲なく早期の靴下着脱動作が達成できた。早期の靴下着脱動作獲得できた事で下衣更衣・靴着脱動作等の脱臼が危惧される動作を安全に獲得し、受傷前同様のADL遂行に繋がった。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602286080
  • NII Article ID
    130006985767
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.5.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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