腸管上皮細胞のトランスポータ群およびタイトジャンクション構成成分の発現変動 -感染症時および抗ガン剤投与時を例にとって-

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抄録

感染症は抗生物質の登場で過去の病気との認識がある中、SARSが世界中を恐怖に陥れている現実がある。我々の研究室では感染症の薬物療法を念頭にここ数年研究を展開している。一般に薬物療法においては薬剤の選択はもちろんであるが、投与量、吸収部位の選択も非常に重要な問題である。病態時における腸管上皮細胞上のトランスポータ群の発現変動およびタイトジャンクション構成成分の発現変動は上記の選択において鍵となる因子であると考えられる。本研究では、内毒素としてLipopolysaccharideを例にとり、上記の発現変動と活性調節因子について紹介し、感染症時の薬物療法の至適化について考察する。 ウィルスなどによる感染症とは異なり、ガン細胞は我々の体の中から生じるものであることから、ガン細胞のみを選択的に叩く薬剤およびDrug Delivery Systemの開発が望まれている。つまり強力な抗腫瘍活性がありながら副作用が癌化学療法のDose-limiting factorであり、解決しなければならない問題点であると認識されている。我々は近年、新規抗腫瘍活性を有し、P-glycoprotein(P-gp)の基質であるNobiletineの連続投与はCaco-2細胞にP-gpの発現誘導を引き起こすが、抗腫瘍活性(アポトーシス)も維持しているという、一見矛盾する現象を見出した。この現象について、P-gpの誘導に関してはP-gpの基質ではない抗ガン剤やアポトーシス誘導剤との比較をし、構造活性相関の観点から考察する。一方抗ガン効果については、脂質過酸化を軸にアポトーシスとネクローシスの観点から考察する予定である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602393600
  • NII論文ID
    130004639210
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.11.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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