基本動作と日常生活活動の関連性について

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  • SIAS、FIMを使用して

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【はじめに】<BR> 国際障害分類が国際生活機能分類へ改定となり、我々は対象者を多面的に理解しやすくなったように思う。しかし身体機能と日常生活活動(以下ADL)の関連性について詳細な検討を行う重要性については依然として変わらない。また、在院日数が短縮傾向にあり適切な治療アプローチが要求される今日の医療においては、対象者のおおよその身体機能からADLを予測し、更なる詳細なADL評価や治療へと展開していくことも重要であろう。身体機能評価法とADLとの関連性について検討している文献は多くみられるが、基本動作とADLについて検討している文献はあまり見当たらない。そこで今回、千野らの行なったStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)とFunctional Independence Measure運動項目(以下FIM-M)との関連性に加えて、基本動作との検討を行なった結果、若干の知見を得たので考察を交えここに報告する。<BR>【対象】<BR> 平成16年4月時点で当院回復期リハビリテーション病棟に入院中の症例59名のうち、初回発症で重度な高次脳機能障害や整形外科的疾患がなく、四肢麻痺を除外した37名(男性24名、女性13名)、平均年齢は66.7±10.6歳を対象とした。<BR> 疾患名は脳出血14名、脳梗塞21名、その他2名、麻痺側は右片麻痺25名、左片麻痺12名であった。発症からの評価日までの期間は130.7±49.5日であった。<BR>【方法】<BR> 37名について1.臥位から坐位までの起居動作(以下坐位)可能群、不可能群2.坐位から立位までの立ち上がり動作(以下立位)可能群、不可能群の各二群に分類した。また、各可能群については動作終了までの所要時間を測定した。その他、セラピストが病棟での「できるADL」を評価したFIM-M、SIASを評価し、比較、検討を行った。<BR>【結果】<BR> 坐位、立位可能群と不可能の二群間においてはFIM-M合計点数、SIAS合計点数においてそれぞれp<0.01で有意となった。坐位・立位可能群における動作終了までの時間(秒)と各項目との関係について以下の表1に示す。坐位時間との相関に関しては食事、整容、更衣(下)、上肢遠位、垂直性、健側握力以外すべて有意な負の相関となった。立位時間との相関に関しては整容、トイレ、移乗(ベッド・トイレ)において有意な負の相関がみられたものの、その他の項目においては有意な相関がみられなかった。<BR>【考察】<BR> 坐位可能群において動作終了までの時間と各項目において有意な相関がみられた。起居動作においては体幹の分節運動が必要とされ、さまざまな文献においてADLを遂行するにあたり必要な能力のひとつに体幹の回旋を伴った坐位バランスの能力を上げている。以上のことから有意な相関がみられたのではないかと思われる。結果として、病棟での作業療法において各ADL訓練を行う前の動作である起居動作に介入する重要性を再確認することができた。<BR> 立位可能群において動作終了までの時間との関係においては、トイレ、移乗(ベッド・トイレ)において有意な相関がみられた。このことは下肢機能との関連において理解しやすいと思われる。しかし、その他において有意な相関はみられず、特にSIAS(体幹機能、麻痺側下肢機能、健側機能)との有意な相関もみられなかったことは疑問に思う結果であった。このことも含めて、今後は症例数の増加、詳細な項目による検討を行っていきたい。

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  • CRID
    1390282680602908928
  • NII Article ID
    130006986307
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2004.0.62.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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