ストレプトゾトシン誘発性糖尿病モデルラットにおけるタクロリムスの体内動態

Description

【目的】免疫抑制剤、tacrolimus(TAC)は、臓器移植の分野で汎用されているが、その治療過程において原疾患に起因する高血糖や、使用する薬剤による高血糖が招来され、TACの消化管吸収動態が変化する可能性が示唆されている。しかし、その機序については詳細に検討されていない。そこで本研究では、ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラット(インスリン依存型)におけるTACの体内動態について検討した。【方法】糖尿病モデルラット(DMラット)の作成:ストレプトゾトシン(STZ, 40mg/kg)を尾静脈内投与し、一週間以上飼育後、血糖値が250mg/dl以上のものを用いた。TAC投与実験:0.1mg/kg(静脈内)、0.3mg/kg(経口)の用量でTACを投与し、頸静脈から経時的に採血した。腸管灌流実験:小腸全体にループを作成し、25mMグルコース添加PBS(pH7.4)を0.5ml/minで灌流下、rhodamine-123(Rho-123, 0.17mg/kg)を静脈内投与し、経時的に頸静脈血および灌流液を採取した。Assay:試料中TAC濃度を、LC/MS/MSにより測定した。【結果と考察】静脈内投与後、DMラットの全血中TAC濃度-時間曲線下面積(AUC)は、controlに比べて有意に減少した。一方、経口投与後、DMラットのAUCは、controlに比べて増加した。また、灌流実験において、Rho-123の腸管排泄クリアランスは、DMラットにおいて有意に減少し、腸管排泄トランスポーターのDM時における機能低下が示唆された。以上の結果、DMラットにおいて、TACの体内動態に、代謝亢進や小腸P糖蛋白質の機能低下が関与しているものと考えられた。また、DM時の全身クリアランスが有意に増加していたことから、肝代謝の亢進が考えられ、これに関する検討も併せて報告する。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602931968
  • NII Article ID
    130006986325
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.219.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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