虚弱高齢者10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)の信頼性の検討
抄録
【目的】<BR>本研究は、CS-30を虚弱高齢者用に修正した「虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト(10-sec Chair Stand test for Frail Elderly;Frail CS-10)」の信頼性について、測定値の再現性と妥当性から検討した。<BR>【対象】<BR>2箇所のデイケアに通所している虚弱高齢者で、重度の認知症が認められない65歳以上の高齢者の中から、乱数表を用いて無作為抽出された60名(男性30名、女性30名、年齢78.4±8.5歳)である。対象者には研究の目的を十分に説明し、書面にて同意を得て行った。また、本研究は西九州大学倫理委員会の承認を受けた。<BR>【方法】<BR>Frail CS-10は、開始姿勢を高さ40cmのパイプ椅子に両手を膝の上に置いた座位姿勢とし、10秒間に何回立ち上がれるかを測定した。再現性を検討するため測定は2回行い、妥当性の検討には最大値を用いて分析した。Frail CS-10の基準関連妥当性を検討するため、握力、大腿四頭筋筋力、歩行速度(5mの最速歩行)、Timed up & go test(TUG)を測定した。握力と大腿四頭筋筋力は、左右とも2回測定し、その最大値の合計を体重比百分率(%)に換算して分析した。歩行速度とTUGの測定はともに2回行い、その最速値を採用した。統計処理は、Frail CS-10の再現性について、1回目と2回目の測定値から級内相関係数(Intraclass correlation coefficient;ICC)を求めて検討した。Frail CS-10の妥当性は、対象者のFrail CS-10と上下肢筋力および歩行能力との関連について、性別にピアソンの相関係数を求めて検討した。<BR>【結果】<BR>対象者60名のFrail CS-10は、1回目が平均3.4±1.6回、2回目が平均3.3±1.8回であり、ICCは0.957であった。また、Frail CS-10と有意(p<0.01)な相関が認められたのは、男女ともに大腿四頭筋筋力(男性r=0.50;女性r=0.47)、歩行速度(男性r=0.83;女性r=0.62)、TUG(男性r=-0.73;女性r=-0.68)であり、Frail CS-10の測定値が高いほど大腿四頭筋筋力が強く、歩行速度やTUGが速いという関係が示された。一方、握力とは男女ともに有意な相関は認められなかった。<BR>【考察】<BR>CS-30を虚弱高齢者用に修正したFrail CS-10の再現性は極めて高く、下肢筋力の指標とした大腿四頭筋筋力、歩行能力および立位バランス能力の指標とした歩行速度やTUGとの間に、男女ともに有意な相関が認められ、Frail CS-10の基準関連妥当性が確認された。これらの知見から、Frail CS-10は虚弱高齢者の下肢筋力のみならず,歩行能力やバランス能力をも反映する簡便なテスト法であることが示唆された。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2010 (0), 166-166, 2010
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680602948992
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- NII論文ID
- 130006986341
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可