ギランバレー症候群発症後無気肺となったが体外式陽陰圧式人工呼吸器を施行し改善を認め自宅復帰が可能となった症例

Description

<p>【はじめに】</p><p>ギランバレー症候群発症後呼吸状態悪化し無気肺となり、気管挿管・人工呼吸器管理となったが早期より体外式陽陰圧式人工呼吸器(respiratory therapy external;以下RTX)施行し改善が見られ自宅復帰となった症例を担当する機会を得たため報告する。</p><p>【症例紹介】</p><p>30歳代の男性で営業の仕事をしていた。X年Y月Z日より感冒症状、上肢の痺れ出現。Z+7日の夜より嚥下困難、歩行のふらつきが顕著になり、翌日全身脱力を認めたため救急搬送。救急外来にて痰喀出困難となり呼吸状態悪化。胸部X線にて無気肺を認め、気管挿管・人工呼吸器管理となりICU入室。Z+10日排痰・廃用予防目的でリハビリ介入となった。</p><p>【経過ならびに評価】</p><p>第10病日目リハビリ介入(重症度Grade5)。挿管・鎮静管理中でRASS-4、人工呼吸器管理(SIMV:FiO2 0.5 SIMV13 PEEP3 )で呼吸器に全て同調していた(初期評価:①上肢MMT0②下肢MMT0③握力0/0kg④B.I0点)。体位変換やスクイージングなどの呼吸リハビリテーションを実施したが著明な変化はなく、第15病日目2名介助での起居―起立運動、RTX(clearanceモード:①vibration;600cpm -5cmH2O 3min②cough;50cpm -25cmH2O +1cmH2O 5.0:1.0 1min、キュイラス7番使用)3サイクルを1日2回施行した。RTX施行後吸引にて多量に痰を引くことが可能であった。第17病日目人工呼吸器離脱し、第22病日目より歩行練習・トイレ動作練習開始。第25病日目気管切開術施行。第27病日目咳嗽力向上に伴いRTX終了。トイレ動作は独歩伴行レベルとなった。第29病日目スピーチカニューレに変更(中間評価:①上肢MMT3②下肢MMT4③握力2.5/2.5kg④B.I45点)。第30病日目入浴動作や床上動作練習開始。第39病日目カニューレ抜去。第40病日目ADL自立(最終評価:①上肢MMT5②下肢MMT5③握力14/14kg④B.I100点)。第50病日目自宅退院となった。</p><p>【考察】</p><p>近年呼吸リハビリテーションにおいてRTXは注目されており、呼吸補助や排痰介助などの効果が期待されている。しかし、呼吸リハビリテーションにおけるRTXの使用に関する報告はまだ少なく、どのような条件下でどのような効果が期待できるのかについては不明な点が多い。</p><p>今回ギランバレー症候群発症後自己喀痰が困難となり無気肺を呈した症例に対し、体位変換や徒手的な排痰手技を行ったが改善が乏しかったため医師の指示の下RTXを施行した。使用後より画像所見でも著明な改善が見られ、本症例のような重症な状態においてもRTXは有効であったと示唆された。また同時に呼吸器管理の頃から積極的な離床を促したことにより廃用症候群を最低限に留めることができたと思われる。ギランバレー症候群の多くは6ヶ月以内に自然治癒し、一般的に予後は良いと考えられているが死亡例や後遺症を残す例も少なくない。予後不良の因子として①年齢②先行感染の有無③極期における重症度(Grade3以上)④人工呼吸器の使用⑤電気生理学的検査(軸索型)を上げている。本症例においても②-④が予後不良因子に該当し回復遅延、後遺症が残存する可能性あると推測されたが1ヶ月後自宅復帰をすることが可能であった。その要因として上記で述べたように急性期より積極的な離床を促し、RTXなどの呼吸リハも実施したことで廃用症候群や合併症を最小限にとどめることができたからではないかと考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>今回の発表にあたりヘルシンキ宣言に基づく倫理的配慮を十分行った。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680602961920
  • NII Article ID
    130005175458
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2016.0_83
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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