脳卒中片麻痺患者における歩行と起居動作の関連性
Bibliographic Information
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- ~動作自立度及び運動機能に着目して~
Description
<p>【目的】</p><p>基本的動作が一つでも障害されると、日常生活活動に支障を来すので、理学療法士は担当患者の一連の基本的動作能力を把握する必要がある。しかし、これまでの基本的動作に関する研究は、歩行か起立動作に関した報告が多く、寝返り・起き上がりも含めた一連の動作の関連性を検証した研究は少ない。基本的動作の一連の関連性が理解出来れば、一つの動作能力の改善のみでなく、他の動作能力の改善も視野に入れながらの介入が行え、より効率の良い介入が可能になると考えられる。</p><p>本研究の目的は、脳卒中片麻痺(片麻痺)患者の歩行自立度と麻痺側運動機能、起居動作自立度及び起居動作遂行時運動機能の関連性を検証することである。</p><p>【方法】</p><p>対象は、2施設で理学療法を受けている片麻痺患者のうち、本研究の目的を説明し同意が得られた45名であった(骨関節疾患、神経難病、高次脳機能障害を呈している方は除外)。方法として、対象者の歩行の自立度を0点(困難)~10点(屋外独歩レベル)で、起居動作の寝返り、起き上がり、起立の自立度をそれぞれ、0点(困難)~8点(自立)で点数化した。麻痺側運動機能はBrunnstrom stage(BRS)にて評価し、起居動作遂行時の運動機能は、機能的片麻痺起居動作評価表(FAHB)を用いて点数化した。FAHBは、26項目31点満点である。内訳は、非麻痺側方向への寝返り6項目8点、非麻痺下側臥位からの起き上がり動作8項目8点、端座位からの起立動作12項目15点である。各項目は起居動作を構成している頭頸部・体幹・骨盤・麻痺側上下肢の運動性(運動方向)を観察にて判定し、判定には具体的な観点を設け、2~3段階で採点する。これまでに、FAHBの信頼性(検者間信頼性及び基準関連妥当性)は検証されており、良好な結果が得られている。統計学的処理は、対象者の歩行自立度と上下肢BRSそして起居動作自立度、FAHBの総得点と各動作点数及び各26項目との関連性についてSpearman順位相関係数を用いて検証した。統計ソフトはSPSS Ver22.0を使用し、有意水準は5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>対象の内訳は、脳出血:28名、脳梗塞:16名、くも膜下出血:1名、右麻痺:25名、左麻痺20名、平均年齢:62.2±11.2歳、平均罹患期間:21.6±46.4ヶ月であった。左片麻痺者と右片麻痺者の間には、上下肢BRS、歩行自立度、起居動作自立度、FAHB各点数に有意差はなかった。歩行自立度と有意な相関が認められたのは、上・下肢BRS(r=0.58・0.54)、起居動作自立度(r=0.83)、FAHB総得点(r=0.71)、FAHB起立点数(r=0.64)、FAHB寝返り点数(r=0.51)及び起き上がり点数(r=0.53)であった。歩行自立度とFAHB各項目では、26項目中23項目が有意な相関であった。</p><p>【考察】</p><p>歩行自立度と麻痺側運動機能、起居動作自立度、起居動作遂行時運動機能との関連性を示した。特に、歩行自立度は寝返り・起き上がり時の麻痺側上下肢の運動の他、頭頸部と体幹の回旋や屈曲運動ともかなりの相関であった。寝返り・起き上がり時の頭頸部の運動は歩行に必要な立ち直り反応と密接に関係しており、体幹は四肢運動の基盤となる。よって、歩行自立度の観点から、ただ起居動作が出来れば(自立していれば)良いのではなく、各関節・部位の運動に着目し、寝返り・起き上がり・起立そして歩行へと一貫した介入の必要性が示唆された。</p><p>【まとめ】</p><p>歩行自立度と麻痺側運動機能、起居動作自立度及び起動作遂行時運動機能との関連性が確認された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は当法人の倫理委員会の承諾を得て行い、対象者には本研究の目的を説明し同意を得た。また、利益相反に関する開示事項はない。</p>
Journal
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- Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Proceedings of Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu 2016 (0), 45-45, 2016
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680603000064
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- NII Article ID
- 130005175362
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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