ポジショニングに対する認識を高めるために

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  • 永江 香澄
    (医)白十字会 燿光リハビリテーション病院

抄録

【はじめに】<BR>当院介護保険病棟では平均介護度4.7と寝たきりの患者が数多く入院している。寝たきり患者に対するポジショニングは褥瘡予防、肺炎予防、拘縮予防などの目的で重視されている。しかし、リハビリ部では経験年数の違いや異動もあり、ポジショニングに関する知識・技術に差を生じていた。そこで、知識の習得と認識の統一を図るため、スタッフの意見を基に、勉強会・検討会などを開催した。様々な取り組みを行なうことで、ポジショニングに対する意識が変化し、問題点などに対する意見が聞けるようになった。今回、ポジショニングに対する取り組みと効果及び今後の展望について報告する。<BR>【今までの取り組み】<BR>1._介護保険病棟リハビリスタッフ全員で文献・DVDを用いて勉強会を開催 _2._メーカーに依頼しポジショニングについての研修会と実際の症例を通しての検討会 _3._簡易型圧測定器を使用して患者様の圧・ズレ力測定を行い現状のポジショニングの評価 _4._メーカーよりポジショニング枕を借り比較検討 _5._圧測定結果を記載したポジショニングシートの作成<BR>【症例供覧】<BR>症例:M氏 診断名:脳梗塞 四肢麻痺 身長:165.5cm 体重:54.7kg Alb:3.1 介護度:要介護5 食形態:経管栄養(胃婁管理) 寝具:静止型マットレス(ソフィア)、ポジショニング枕4個使用<BR>・ポジショニング検討前後での圧比較(ポジショニング前⇒ポジショニング後)※単位はmmHg<BR>※問題となった部位のみ抜粋  大転子(53.8⇒25.6)踵(83.3⇒11.5)<BR>・本症例のポジショニングで考慮したポイント<BR> _1._32mmHg以上の圧で褥瘡リスク _2._点ではなく面で支える _3._安楽な姿勢の検討(良肢位保持、変形・拘縮予防) _4._長時間での耐久性 _5._体格に合わせた枕の選択<BR>【取り組みの効果】<BR>・ポジショニングに対する理解が深まった ・ポジショニング枕のあて方が改善した ・圧測定器の活用が定着した ・圧測定結果を載せたポジショニングシートを使用することで、病棟スタッフの意識が向上した<BR>【今後の展望】<BR>・ポジショニングシートの内容の充実 ・病棟と協力してポジショニングの評価(長時間使用でのズレ・ムレなど) ・メーカーと協力して安価なポジショニング枕の検討 ・2台追加購入となった圧・ズレ力測定器の活用方法の検討<BR>【まとめ】<BR>現在、ポジショニングに対する取り組みを行い、意識の向上に繋げることができた。今後も褥瘡予防の観点から、患者様・ご家族様・リハビリ部・看護部・介護部と協働でポジショニングに取り組んでいきたいと考えている。また、圧測定器などの活用を行い、しっかりと根拠を理解した取り組みにつなげていきたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680603055360
  • NII論文ID
    130006986440
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.259.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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