重度肥満、気管切開を合併し、意識障害、左片麻痺を伴う脳出血重症例の回復期リハビリテーション

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説明

【はじめに】<BR> 意識障害、左片麻痺を伴う重度脳出血に高度肥満、気管切開を合併し、39病日で入院した症例に、主に起立訓練を150から200回/半日を1から3時間/日行った。144日の入院治療により歩行は不可能から室内自立になった。<BR>【症例紹介】<BR> 48歳男性。38歳時小脳出血。後遺症なく、事務職員として働いていた。ある日仕事中に右視床出血、左片麻痺になりA病院に入院。4時間後に血腫増大、脳室穿破になったため、開頭血腫除去・側頭葉部分切除術が施行された。8病日肺炎にて気管切開、人工呼吸器管理となった。15病日人工呼吸器離脱。ROM-ex.、坐位、立位保持訓練などが行われていた。39病日当院へ入院。<BR>【入院時所見】<BR> 身長167cm、体重87.5kg(BMI31.4)。気管切開、鼻腔チューブ栄養。Brunnstrom stage(以下、BS) は上肢、下肢、手指すべて1。健側MMTは上肢N、下肢Fレベル。意識障害はJCS10から20。簡単な命令には反応がみられた。その他に左半側空間無視、左半盲、左側深部感覚障害、発語不可能があった。ADLはBarthel index(以下、BI) 0/100点で移乗にリフトを要した。<BR>【経過】<BR> 入院2日目(40病日)45度斜面台にて膝屈伸運動を行い、100回/日できた。3日目55cm台より中等度介助にて起立訓練開始。100から200回/日施行。10日目MUSCULATOR GT-30(OG技研)にて膝伸展筋筋力を測定したところ、右27kg左0kgであった。33日目に50cm台からの起立が自立。46日目には移乗が少介助にて可能となり、リフト不要になった。47日目に階段昇降訓練開始。51日目40cm台からの起立自立。53日目に坐位バランス確立、食事自己摂取可能。ウォーケインとSLB使用し少介助歩行が可能(10mスピード:1分59秒)。寝返り、起坐は自立、移乗も監視にて可能となった。107日目気管切開孔閉鎖。136日目(174病日)ウォーケインとSLBを使用しPT室内歩行自立(10mスピード:53秒)。体重は、600kcal食にて68.7kg(BMI24.4)まで減量。BSは上肢2、下肢3、手指1、健側MMTは上肢N、下肢Nレベル。膝伸展筋筋力は右59kg左25kg。BIは70/100点に改善した。<BR>【考察】<BR> 三好は、急性期リハでは重症例や意識障害例、高齢患者例ほど早期からの積極的筋活動が重要だと強調している。また近藤も、訓練強度や量を増やすことが神経・筋の機能、ADL、自宅退院率・うつなどの心理・社会的側面に効果的と述べている。当院で起立訓練を重視しているのはそのためである。これは、本例のような重症でも意識障害が深くなければ可能である。起立訓練ができない場合には、斜面台を利用し自動的な膝屈伸運動より行う。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680603092992
  • NII論文ID
    130006986493
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2005.0.111.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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