光化学系IID1蛋白質C末端Alaのカルボキシル基に単座配位したMnイオンはS<SUB>1</SUB>→S<SUB>2</SUB>遷移で酸化され、S<SUB>3</SUB>→S<SUB>0</SUB>遷移で還元される

DOI
  • 水澤 直樹
    理研・フォトダイナミクス研究センター・光生物(1)
  • 木村 行宏
    理研・フォトダイナミクス研究センター・光生物(1)
  • 山成 敏広
    広大・総合科学
  • 石井 麻子
    理研・フォトダイナミクス研究センター・光生物(1)
  • 小野 高明
    理研・フォトダイナミクス研究センター・光生物(1)

書誌事項

タイトル別名
  • Carboxylate of D1 C-Terminal Ala344 Ligates a Mn Ion That Is Oxidized upon S<SUB>1</SUB>-to-S<SUB>2</SUB> Transition and Reduced upon S<SUB>3</SUB>-to-S<SUB>0</SUB>Transition

抄録

光合成酸素発生活性中心は4原子のMnと1原子のCaよりなる金属錯体であり、主としてD1蛋白質のアミノ酸残基が配位子となっている。D1蛋白質C末端アラニンのカルボキシル基はMnクラスターの配位子候補として提唱されている。 Mn原子は水の酸化分解過程で酸化・還元を受けるが、実際に個々のMn原子の酸化・還元が観測された例はない。本研究では、D1蛋白質C末端アラニンのカルボキシル基を特異的に13C同位体標識化したSynechocystis sp. PCC 6803光化学系IIコア標品を用いてS状態遷移に伴うC末端カルボキシル基の構造変化を光誘起フーリエ変換赤外吸収(FTIR)差スペクトルにより解析した。中赤外領域(1800-1200 cm-1)のS2/S1差スペクトルには、1360-1300 cm-1に同位体シフトを示すバンドが幾つか観察され、これらはMnイオンに単座配位したC末端カルボキシル基のバンドであると同定された。本バンドはS1→S2遷移で顕著に出現したが、S2→S3遷移ではほとんど変化がみられず、次のS3→S0遷移でS1→S2遷移とは符号が反転したバンドして再び出現し、S0→S1遷移では変化しなかった。以上の結果より、D1 C末端のカルボキシル基はMnクラスター中のMnイオンの単座配位子であり、このMnはS1→S2遷移で酸化されS3→S0遷移で還元されることが明らかとなった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680603561984
  • NII論文ID
    130006986956
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.009.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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