葉形態形成における細胞増殖と細胞伸長の調和:補償作用で見られる過剰な細胞伸長には二つの伸長パターンが関与する
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- FERJANI Ali
- 基生研
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- 藤倉 潮
- 総研大
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- 堀口 吾朗
- 基生研
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- 塚谷 裕一
- 基生研 東大・院・理
書誌事項
- タイトル別名
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- Coordination of cell proliferation and cell expansion during leaf morphogenesis: Cell enlargement observed in compensation is mediated by two different mechanisms
抄録
葉のサイズは細胞数と細胞の大きさにより決定される。そこで我々は葉のサイズ制御機構を明らかにするため、補償作用という現象に注目した研究を進めている。補償作用とは、葉原基における細胞増殖活性の低下により細胞数の減少が引き起されると、個々の細胞が大型化する現象である。しかし葉の発生に沿って、補償作用の動態を解析した研究例はまだない。本研究では補償作用を示す7種の変異体、fugu1からfugu5, angustifolia3, erecta およびKIP-RELATED PROTEIN2過剰発現体の解析を総合的に行った。その結果、補償作用は細胞増殖活性を失った分化中の細胞で誘導される事が判明した。この事実から補償作用に見られる細胞の大型化は、細胞分裂の遅延による受動的なものではなく、能動的な細胞伸長促進の結果と考えられる。細胞伸長の促進には二つの異なるパターンがり、fugu5 では細胞伸長期間の長期化が、それ以外の変異株では細胞伸長速度の上昇が生じていた。次にこのような過剰な細胞伸長と核内倍数性との関係を調べた。興味深い事に、倍数性の増加は一部の変異体でのみ若干見られる程度であり、その事から倍数性の増加は細胞伸長の誘導には必須ではないと結論された。これらの結果から、補償作用をもたらす細胞伸長制御系には少なくとも2種類が存在し、それとリンクした細胞増殖系も複数存在すると考えられる。
収録刊行物
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- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
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日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 2006 (0), 607-607, 2006
日本植物生理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680603815808
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- NII論文ID
- 130006987254
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可