葉脈パターン形成に関する数理学的解析

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タイトル別名
  • Mathematical Analysis of Leaf Venation Pattern Formation

抄録

植物の葉脈パターンは非常に多様性に富んでおり、パターン形成としてとても興味深い。今回、葉脈パターン形成を説明する仮説の一つであるcanalization仮説と、実験的に知られているオーキシンとその輸送体PIN1との関係とを融合させたモデルをたて、その解析を行った。<br> このモデルの基本的な振舞いとして、ほぼ一様な状態から最終的にオーキシンが強く流れる道筋(オーキシン極性輸送)の形成が認められた。この性質を利用して葉脈パターンの再現を次に試みた。その結果、葉の形を変えることにより最終パターンに大きく影響することが分かった。例えば双子葉植物に典型的なパターンやイチョウの様なパターンなどが再現できた。また葉の最初と最後の形は同じでも途中の領域拡大(細胞分裂)の場所、方向を変えることによっても、最終パターンに大きく影響することが分かった。また植物によっては細胞が整然と並んでいるものがあるが、この場合オーキシンの拡散に異方性が存在する可能性が考えられる。この効果を調べた所、拡散のしやすい方向に葉脈も伸びやすくなり、その結果パターンも変化する。さらに単子葉植物のように、葉の基部から細胞分裂により細胞が供給される条件では、平行脈パターンが形成されることも認められた。以上の結果は、同じダイナミクスを用いても、条件の違いにより非常に多様性に富んだパターンが形成されうることが分かった

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680604128384
  • NII論文ID
    130006987600
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.783.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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