オウレン細胞のベルベリン生合成経路に関与するcytochrome P450遺伝子のクローニングとその機能解析

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of CYP719 as a Methylenedioxy Ring-forming Enzyme in Berberine Biosynthesis of <I>Coptis japonica</I>

説明

抗菌性イソキノリンアルカロイドであるベルベリンの生合成経路には13段階の反応が含まれ、そのうちの2段階はcytochrome P450(P450)によって触媒される。特に、メトキシフェノールの環化(メチレンジオキシ環形成)を行うP450反応はその反応機構や、有機合成の難しさから大変興味深い。今回、ベルベリンを高生産しているオウレン培養細胞から、メチレンジオキシ環形成反応を触媒するP450遺伝子の単離ならび同定に成功したので報告する。<br>植物、動物に共通するP450遺伝子の保存配列をもとにオウレン培養細胞cDNAライブラリーから2種のP450遺伝子のcDNAを単離した。その推定アミノ酸配列に基づく相同性解析から、これらは、P450命名委員会によりCYP80B2、CYP719と命名された。CYP80B2を酵母で発現させた結果、同遺伝子は、既にハナビシソウ(Eschscholzia californica)からクローニングされているCYP80B1同様、(S)-N-methylcoclaurine-3'-hydroxylase反応を触媒することが明らかとなった。一方、CYP719を同様に酵母で発現した結果、(S)-terahydrocolumbamineを基質として、メチレンジオキシ環形成反応によって、(S)-tetrahydroberberineを生成することが明らかとなった。更なる解析によりCYP719の基質親和性、基質特異性が高いことが判明した。すなわち、CYP719はベルベリン生合成経路に特異的なP450であることが明らかとなった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680606307712
  • NII論文ID
    130006990068
  • DOI
    10.14841/jspp.2003.0.681.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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