シロイヌナズナCMV(Y)抵抗性系統を用いたウイルス感染初期過程におけるメタボローム解析

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タイトル別名
  • Metabolome Analysis of Viral Infected <I>Arabidopsis</I> Lines which are Resistant to CMV(Y)

抄録

生物現象の多くは、動的な代謝変化が高度に調和し制御されている。我々は生物現象を解明するために生物の状態変化に注目している。代謝化合物の網羅的な解析方法であるメタボローム解析は生物の代謝的特徴やその状態変化を明らかにする上での有用なツールである。代謝物は生物を構成し、生命活動を維持するための鍵シグナルとなり、外敵から身を守るための防御物質となる。メタボローム解析はこれまでに知られている様々な生物現象に新しい知見をもたらすことが期待されているがその応用例は少ない。<br>植物の病原体に対する抵抗反応は、植物ホルモンなどの代謝化合物が中心的な役割を担う生物現象のひとつである。R遺伝子を介した抵抗反応は、過敏感反応(HR)細胞死を伴う場合とHR細胞死を伴わない場合があり、後者は高度抵抗性(ER)と呼ばれる。本研究では、シロイヌナズナの病原ウイルスCMV(Y)処理に応答してHR誘導型およびER型の抵抗反応が誘導されるときに起こる代謝変化を経時的に解析した。ER型植物は、1)恒常的にサリチル酸の配糖体が高蓄積し、2)Col-0やHR誘導型植物と比べて代謝プロファイルの変化が小さく抑制され、3)ジャスモン酸とサリチル酸の内生レベルが拮抗的に経時変化し、4)やがてサリチル酸が優位に立つこと、などが分かってきた。代謝プロファイルの変化という観点からER型植物の抵抗性メカニズムについて議論したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680607192192
  • NII論文ID
    130006991209
  • DOI
    10.14841/jspp.2009.0.0240.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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