イネ幼植物体の種子根生育におけるフィトクロムの作用

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タイトル別名
  • Physiological Function of Phytochromes in Seminal Root Growth of Rice Seedlings

抄録

植物の根にフィトクロムが存在することは報告されているが、その生理作用は光屈性以外にはあまり知られていない。私たちはイネのフィトクロム欠損変異体を用いて根の光形態形成におけるフィトクロム作用を調べたので報告する。<br>野生株イネ(Nipponbare)を1/2濃度のMS培地(ゲランガム0.2%)に播種し暗所で7日間生育させた場合、種子根はほぼ重力方向に8cm以上伸長した。一方、連続白色光照射下では、発芽誘導から2日後、種子根が約2cmに達したところでコイル状に屈曲し、伸長を停止した。この反応は窒素濃度に依存し、窒素濃度が0.1mMより低い濃度では見られず、0.1~10mMでは窒素濃度が高くなるにつれて高頻度で見られた。この反応は暗所で発芽誘導させてから48~72時間目に光を照射した場合に最も効果的に引き起こされた。フィトクロム欠損変異体を使った単色光照射実験、ウエスタンブロッティングによる根のフィトクロムタンパク質の検出、および光の局所的な照射実験の結果から、種子根に存在するフィトクロム分子が光を受容して種子根の伸長抑制の生理反応を調節することがわかった。フィトクロム分子種の根の光形態形成における役割分担様式の特徴を考察する。<br>本研究は、農水省プロジェクトIP1006の委託を受けて実施した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609021056
  • NII論文ID
    130006993939
  • DOI
    10.14841/jspp.2006.0.727.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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