イネフィトクロムB分子のシグナル伝達機構の解析

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タイトル別名
  • Analysis of Signaling Mechanism of Rice Phytochrome B Molecule

抄録

光受容体フィトクロムは、植物の様々な光応答を制御している。松下ら(2003)、岡ら(2003)は、シロイヌナズナのフィトクロムB(phyB)のN末端側651アミノ酸(AtPhyBN651)、さらに短い450アミノ酸(AtPhyBN450)とGFP-GUSとの融合タンパク質がphyBの生理機能を相補出来る事を示し、phyBのシグナル伝達には N末端側450アミノ酸が重要であることを明らかにした。短日植物であるイネのphyB機能欠損変異体(phyB-2)は、赤色光下での幼葉鞘等の伸長生長の促進および第1葉の緑化の抑制、青色光下での第2葉のラミナジョイントの屈曲が報告されている(高野ら、2005)。そこで、シロイヌナズナおよびのイネのPHYBのN末端部位(AtPhyB-N450,-N651, OsPhyB-N450,-N651)をGFP-GUS融合タンパク質としてphyB-2に発現させた。その結果、赤色光下での光形態形成および第1葉の緑化においては、OsPhyB-N651はphyB欠損を部分的に相補したが、OsPhyB-N450はほとんど相補しなかった。青色光下でのラミナジョイント反応は、AtPhyB-N450, -N651は相補せず、OsPhyBN450は野生型レベルまで相補、OsPhyB-N651は野生型よりも強い形質(スーパーフィトクロム様活性)を示した。以上の結果は、イネphyB分子のシグナル伝達機構はシロイヌナズナphyB分子と異なっており、さらに、その必須な機能ドメインも、生理反応によって分化している事が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609207040
  • NII論文ID
    130006994221
  • DOI
    10.14841/jspp.2007.0.239.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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