プリン異化代謝の植物生理学的重要性

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Plant physiological importance of purine catabolism

抄録

核酸やヌクレオチドの構成成分として豊富に存在し,高い窒素/炭素比を誇るプリン塩基の代謝は,同化窒素の効率的利用の観点から重要な窒素代謝の一つと考えられる。プリン代謝には,代謝中間体を再生するサルベージ経路と,それらをキサンチンに収束したのちに無機分解する異化経路が知られているが,負担の大きい新規合成を回避するサルベージ経路に対して,異化代謝が持つ生理的役割は必ずしも分明ではない。私たちは,プリン異化代謝の初発かつ律速酵素であるキサンチン脱水素酵素(XDH)を標的としたRNAiが,シロイヌナズナにおいて生育遅延,稔性低下,老化の早期誘導などの多面的表現型をもたらすことを明らかにしたが,今回これについてさらに解析を進めた。形質転換体では,2コピー存在する遺伝子(AtXDH1,AtXDH2)のうち,RNAiの直接の標的であるAtXDH1 のみならず,AtXDH2 の発現も共抑制されており,キサンチンが高度に蓄積していた。高濃度のキサンチンは野生株の成長に殆ど影響しないが,形質転換体にプリン異化産物である尿酸を与えるとその生育遅延が回復することから,プリン異化代謝の欠損が形質転換体が呈する表現型の一因であることが示唆された。さらに,キサンチンを唯一の窒素源として野生株は生育できるが,形質転換体の成長は顕著に抑制されることから,プリン異化代謝およびその産物の植物生理学的重要性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609317376
  • NII論文ID
    130006994380
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0299.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ