イネ初期胚の構造観察

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タイトル別名
  • Observation of early developmental pattern of rice embryo

抄録

多くの被子植物の胚発生様式は、シロイヌナズナに代表されるアブラナ科植物のように規則正しくはない。単子葉植物であるイネはモデル植物として多くの研究が蓄積してきているが、初期の胚発生の発生様式に関しては未だ明確には示されておらず、また胚発生に重要な役割をもつIAA の胚内分布に対する知見もほとんど得られていない。本研究では、イネの初期胚の発生様式を組織化学的手法による詳細な観察により明らかにした。イネ初期胚発生時における細胞構造を明確にするために、受粉前~受粉後96時間の子房を化学固定し、樹脂包埋後、卵、胚、助細胞など周辺構造を観察した。受粉前の胚のう内では、2個の助細胞が背側に並んで配置され、卵はそれら細胞に接して腹側に位置した。卵は受精後、第一分裂面が助細胞の配置と平行な面、珠孔-合点軸に対しては斜めな面に入ることで、小さな頂端細胞と大きめの基部細胞からなる2細胞胚を生じる。4細胞胚では、この分裂面に対して垂直に分裂面が入る様子が確認された。その後、約100細胞よりなる球状胚までは卵割様の分裂を行い、受粉後72時間後では、細胞分裂・伸長によって縦長の球状胚となった。そして少なくとも受粉後90時間後には器官分化期胚が観察された。当該研究室では、抗PIN抗体によるトウモロコシ幼葉鞘におけるPINの分布について一定の知見を得つつあり、現在、イネ初期胚におけるPIN分布の可視化を試みている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680609784064
  • NII論文ID
    130006995072
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0622.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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