タンザニア・マハレ山塊国立公園の野生チンパンジーにおけるアカンボウ-非母親間の相互交渉
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- 桜木 敬子
- 京都大・野生研
書誌事項
- タイトル別名
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- Interactions between infants and non-mothers in wild chimpanzees of the Mahale Mountains National Park, Tanzania
説明
<p>母親以外の個体がアカンボウの世話をすることを、アロマザリング(allomothering)と呼ぶ。霊長類の中にも、アロマザリングを行う種は多く存在する。アロマザリングは多くの場合、父親、叔母、兄・姉等の、血縁個体によって行われる。すなわち、アロマザリングの進化においては、血縁選択が大きな役割を果たしたと考えられる。アロマザリングの程度や量は種ごとに大きく異なるが、チンパンジー(Pan troglodytes)は、あまりアロマザリングを行わない種である(Nishida, 1983)。チンパンジーは複雄複雌の集団を形成し、メスが集団を移籍する。メスは移籍先の集団で子を産むので、血縁個体としてアカンボウの世話を手伝うことができるのは、一般に子の父親、(いれば)兄・姉に限られる。ただ、チンパンジーは乱婚制であるから、父親が実子を認知することは容易ではないと考えられる。したがって、チンパンジーにおいて、血縁個体による投資としてのアロマザリングがあまり見られないことは、不思議なことではない。とはいえ、機会さえあれば、アカンボウが非母親個体と関わる場面は少なくない。前述の先行研究では、アカンボウと非母親とのほぼすべての相互交渉がアロマザリングに含まれている。しかし、実際、どのような行動および交渉が、チンパンジーにおけるアロマザリング、すなわち「母親以外の個体による、アカンボウの世話」と呼ばれるべきだろうか。本研究では、約7か月にわたって、タンザニア・マハレ山塊国立公園に生息するおよそ65頭のチンパンジーの集団における、0歳から3歳までのアカンボウ10頭を個体追跡した。ここでは、アカンボウと、非血縁個体、兄・姉等の母親以外の血縁個体、そして母親との間の相互交渉を(その有無を含め)比較しつつ、予備的な結果を発表する。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 32 (0), 52-52, 2016
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680610554880
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- NII論文ID
- 130005418818
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可